実写動画制作の流れ|ドキュメンタリー型と演出型で変わる工程と費用

実写動画制作の流れ|ドキュメンタリー型と演出型で変わる工程と費用

「動画は実写で作りたいんですが、何から始めればいいですか?」——実写動画のご相談で、よくいただく問いです。実写と一口に言っても中身は幅広く、最初の打ち合わせで必ず確認させていただくのが「ドキュメンタリー型ですか、演出型ですか」という分かれ道です。

撮影当日にカメラを回す点は両者とも同じでも、そこに至るまでの「準備(プリプロ)」にかかる工数と費用は、まったく違います。出演者のキャスティング、ロケ地選定、美術、衣装、各種申請、台本制作などの組み合わせが、どちらの系統に寄るかで大きく変わってくるため、企画段階で方向性を見極めておくのが大事になります。

この記事では、実写動画を制作会社に外注することを検討している方に向けて、ドキュメンタリー型と演出型それぞれの制作工程・費用・期間と、用途別の選び方を整理しました。実写・アニメ・AI動画を含めた動画制作全体の流れや使い分けについては、別記事「動画制作の進め方完全ガイド」でも解説しています。

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実写動画には2系統ある|ドキュメンタリー型と演出型

ドキュメンタリー型のインタビュー撮影風景と演出型の大規模ドラマ撮影現場を左右に並べた対比イメージ
実写動画には2系統ある|ドキュメンタリー型と演出型

ひとくちに実写動画と言っても、撮るものによって制作の進め方は大きく変わります。「現場で起きていることをそのまま撮るのか、台本に沿って組み立てて撮るのか」という違いが、準備工程の重さ・撮影規模・必要なスタッフの数まで決めていきます。まずは2系統それぞれの特徴を押さえておきましょう。


ドキュメンタリー型(インタビュー・イベント・社内記録)

ドキュメンタリー型の実写動画は、現場で実際に起きていることをそのまま捉える制作です。代表的なのはインタビュー動画、イベント取材、社内行事の記録、ドキュメンタリー作品など。「目の前のリアルを切り取る」のが基本姿勢で、台本どおりに役者を動かすのではなく、その場で生まれた言葉や表情を拾っていきます。

制作スタイルとしては、カメラマンとディレクターの2名で回せる、小規模な体制が基本です。ロケハン(撮影場所の下見)は行いますが、空間を作り込むような準備までは行いません。ロケーションも、撮影のために特別な許可や使用料が発生する場所は基本的に避け、自社オフィス・提携施設・公共空間・屋外など、確保しやすい場所で撮影を組み立てるケースがほとんどです。

その分、当日の現場対応力が品質を決めるのがドキュメンタリー型の特徴です。インタビュー対象者から自然な言葉を引き出すディレクション、イベントで「これは押さえておきたい」という瞬間を逃さないカメラワーク、現場のライティング判断など、台本では設計しきれない部分を、その場で組み立てていきます。


演出型(ドラマ・CM・物撮り・手順動画)

演出型の実写動画は、台本や構成に沿って演出して撮る制作です。ドラマや実写CMはもちろん、商品の質感を見せる物撮り(プロダクト撮影)、業務手順を見せるサポート動画・操作手順動画なども、構成・演出して撮る点でこの系統に入ります。

演出型の特徴は、撮影そのものよりも「準備のコスト」が主役になることです。具体的には次のような工程が、撮影日に向けて並行して進みます。

  • キャスティング:出演者・モデル・ナレーターの選定と契約
  • ロケ地選定:撮影場所の探索・契約・使用料の交渉
  • 美術・衣装:シーンに合わせた小道具・大道具・衣装の準備
  • 各種申請:道路使用許可、施設使用許可、私有地での撮影許可など
  • 香盤表(撮影スケジュール表)の作成
  • スタッフ手配:照明、音声、メイク、スタイリスト、車両、ケータリング(飲食手配)など

ドキュメンタリー型ならカメラマンとディレクターの2名で済むところ、演出型では案件によって10人以上の体制で動くこともあります。撮影日の拘束時間が長くなるため、スタッフの飲食・移動費まで含めて見積もりに乗ってきます。撮影費というよりも、撮影前後を含めた総合的なプロジェクト管理費と捉えるのが、実態に近い感覚です。


物撮り・手順動画は2系統の中間

ここまで読んで「では、商品の物撮りやサポート手順動画はどっちなの?」と感じた方もいると思います。これらは2系統の中間に位置する、というのが正直なところです。

撮影規模そのものはドキュメンタリー型に近く、カメラマンとディレクターの少人数体制で組めるケースが多くなります。一方で、台本・構成・絵コンテといったプリプロの手間は、演出型寄りになります。「商品をどの角度から見せるか」「手順のどこをアップで撮るか」といったカット設計を事前に詰めておかないと、現場で迷う時間が膨らんでしまうためです。

費用感としても、ドキュメンタリー型より少し上、本格的な演出型より下の中間レンジに収まることが多く、「内容の作り込みは演出型、撮影規模はドキュメンタリー型」というハイブリッドとして捉えると、イメージしやすくなります。


2系統の違いを早見表で整理

それぞれの特徴を一覧で見比べると、選びやすくなります。

ドキュメンタリー型 演出型
代表的な用途 インタビュー、イベント、社内記録、ドキュメンタリー ドラマ、CM、物撮り、手順動画
撮影スタイル 現場で起きていることを撮る 台本・構成に沿って演出して撮る
撮影規模 小規模(カメラマン+ディレクター2名〜) 中〜大規模(10名以上のことも)
準備工程 軽め(簡易ロケハン、出演者調整など) 重い(キャスティング、美術、衣装、許可申請など)
ロケーション 特別な許可・撮影費が発生しない場所が基本 撮影に最適な場所を選定(使用料・許可申請あり)
費用感 比較的抑えやすい プリプロ次第で大きく上振れ
当日の重要要素 現場対応力 段取りどおりの進行

※あくまで一般的な傾向の整理です。大規模な現場記録(ドキュメンタリー型寄りでも体制が大きいケース)、小規模な物撮り(演出型寄りでも少人数のケース)など、案件によってはこの早見表どおりにならないこともあります。

ざっくりとした選び方の指針として、

  • リアリティ・本物の説得力を出したい/予算を抑えたい → ドキュメンタリー型
  • 世界観や演出をしっかり作り込みたい/訴求を強くしたい → 演出型
  • 商品の質感や手順を確実に伝えたい → 2系統の中間(物撮り・手順動画)

という分け方を、ひとまず頭に入れておくと以降の章が読みやすくなります。


共通する前工程|ヒアリングから構成案まで

ドキュメンタリー型と演出型は、本制作に入ってからの進め方は大きく違いますが、前工程のうちヒアリング・企画と構成案の作成までは、ほぼ共通です。違いがはっきり出てくるのは、構成案にOKが出た後、撮影に向けた準備に入る段階からになります。


1. ヒアリング・企画

最初のフェーズは、制作会社との打ち合わせ(オンラインまたは対面)です。ここで決めるのは、おおよそ次のような内容です。

  • 動画の目的:誰に・何を・どう感じてほしいのか
  • ターゲット:視聴者像、年齢層、業界
  • :30秒、1分、3分、5分など
  • 公開先:Webサイト、YouTube、展示会、社内など
  • トーン&マナー:信頼感重視/親しみやすさ重視/世界観重視 など
  • 参考動画:イメージに近い既存動画があれば共有

ヒアリングの段階で、どちらの系統に寄せるかをある程度見極めておくのが、実写では特に大事になってきます。「インタビューを軸にしつつ、要所だけ演出型で見せたい」「商品紹介なので物撮りパートを中心に組み立てたい」など、案件によっては2系統を組み合わせるケースもあります。社内で目的が固まりきっていない場合でも、打ち合わせのなかで制作会社が一緒に整理してくれるケースがほとんどなので、現時点でわかっていることをそのまま伝えれば大丈夫です。


2. 構成案の作成

ヒアリング後、制作会社側で構成案を作成します。動画全体のストーリー、情報の順序、各シーンで見せる要素、尺の配分などを、文章レベルで整理した設計図です。「絵コンテ」のようなラフ画はまだ入らず、シーン番号とテキストだけで全体像を見渡せる状態を作ります。

実写動画の場合、この構成案の段階で「演出型寄りに作り込むか、ドキュメンタリー型として現場に委ねるか」がはっきり見えてきます。ドキュメンタリー型ならインタビュー項目や撮影したい瞬間のリストが中心になりますし、演出型ならセリフ・カット割り・カメラワークまで詰めていく方向に話が進みます。

構成案にOKが出たら、ここから2系統で進め方が分かれます。ドキュメンタリー型は「撮影計画書」、演出型は「PPM(プリプロダクションミーティング)資料一式」を準備して撮影に向かう、というのが大きな違いです。次の章ではドキュメンタリー型の本制作、その後で演出型の本制作を順に見ていきます。

共通フェーズ1ヒアリング・企画目的・ターゲット・尺・トンマナを整理2構成案ストーリー・順序を文章レベルで設計ドキュメンタリー型(4ステップ)1撮影計画書現場運用のための実務資料を作成2簡易ロケハン出演者調整・現場の下見3撮影現場対応力で組み立てる4編集・MAナレーション・音声仕上げ演出型(5ステップ)1台本・絵コンテセリフ・カット割り・カメラワーク設計2撮影準備キャスト・ロケ・美術・申請3PPM関係者全員で最終確認4撮影香盤表どおりに段取りで進める5編集・MAナレーション・音声仕上げ
共通前工程から2系統に分岐する実写動画の制作工程


ドキュメンタリー型の制作工程

構成案にOKが出たら、ここからドキュメンタリー型の本制作に入ります。「現場で起きていることをそのまま捉える」のが基本姿勢なので、撮影前の作り込みは最小限に抑えて、当日の対応力で品質を作っていく進め方になります。次の4ステップで進みます。

  • 1. 撮影計画書の作成
  • 2. 簡易ロケハン・出演者調整
  • 3. 撮影|現場対応力で組み立てる
  • 4. 編集・ナレーション・MA


1. 撮影計画書の作成

ドキュメンタリー型では、構成案をベースに撮影計画書を作成します。撮影日・撮影場所・撮影予定の項目(インタビュー対象者/押さえたいシーン/必要なBロール)・タイムテーブル・機材・スタッフ体制などを、1枚〜数枚にまとめた現場運用のための実務資料です。

ドラマやCMで作るPPM資料のような盛りだくさんの構成にはならず、「現場で迷わずに動くための最低限のロードマップ」として機能する粒度で十分です。インタビュー対象者がいる場合には、質問項目(質問票)を別途用意して、当日の進行に使います。


2. 簡易ロケハン・出演者調整

撮影場所が自社オフィスや慣れた施設の場合、ロケハンは省略するか、軽く下見する程度で済ませます。一方で、初めて訪れる撮影現場や屋外ロケでは、当日のカメラ位置・光の入り方・音環境(騒音)・電源確保などを事前に把握しておくと、当日の段取りが大きく変わってきます。

撮影のために特別な許可や使用料が発生する場所は基本的に避け、自社施設・提携先・公共空間など、確保しやすい場所を選びます。出演者がインタビュー対象者であれば、撮影日時の調整、撮影意図の事前共有、当日の流れの説明までを進めておくのが基本です。


3. 撮影|現場対応力で組み立てる

撮影当日は、カメラマンとディレクターの2名体制で回せるケースが、ドキュメンタリー型の典型です。役割分担としては、カメラマンが映像と音声を押さえ、ディレクターはインタビューの聞き手やイベントの進行確認、現場で生まれた瞬間を逃さない指示出しに集中します。

ドキュメンタリー型では、台本どおりに撮ることよりも、現場で生まれた言葉や表情を拾うことを優先します。インタビュー対象者から自然な反応を引き出すための雑談、イベントで「これは押さえておきたい」という瞬間を予感して切り替えるカメラワーク、想定外の展開を活かす判断など、現場対応力が品質を決定づけます。撮影時間は半日〜1日に収まることが多く、必要に応じてBロール(補足映像)の収録時間を別日に確保するパターンもあります。


4. 編集・ナレーション・MA

撮影完了後は、編集工程に入ります。ドキュメンタリー型では、撮影素材から「使えるカット」を選んで構成を組む編集が中心です。インタビュー素材の編集はとくにディレクターの腕が問われる部分で、対象者の言葉から伝えたいメッセージを再構築していきます。

編集が固まったら、必要に応じてナレーション収録MA(音声仕上げ)を行います。ナレーションは構成案のとおりに収録するのが基本ですが、最近はAI音声で仮当てして尺感を確認してから本番収録に進むスタイルも増えてきました。MAではBGM・効果音の調整、音量バランス、ノイズ除去などを行い、納品形式に書き出して完成です。


演出型の制作工程

ドラマやCMの大規模な撮影現場で、出演者・カメラマン・照明・音声・美術・メイクなど10名以上のスタッフが連携している様子
演出型の撮影現場|10名以上が動く大規模な制作体制

構成案にOKが出たら、ここから演出型の本制作に入ります。前章で書いたとおり「撮影そのものよりも、準備のコストが主役」になる手法なので、撮影日に向けてさまざまな準備が並行して進みます。流れとしては次の5ステップです。

  • 1. 台本・絵コンテの完成
  • 2. 撮影準備(キャスティング・ロケ地・美術・申請)
  • 3. PPM(プリプロダクションミーティング)で最終確認
  • 4. 撮影|段取りどおりに進める現場
  • 5. 編集・ナレーション・MA


1. 台本・絵コンテの完成

構成案から一歩踏み込み、台本(シナリオ)と絵コンテを完成させます。台本にはセリフやナレーション、各シーンの動きが記述され、絵コンテでは1カットごとの構図・カメラワーク・登場人物の動きまで設計します。

演出型は「事前にどこまで詰められたか」が、撮影日の効率と仕上がりを決める手法です。台本と絵コンテで完成形をイメージできる状態を作っておかないと、現場でカット割りやセリフを決めることになり、押さえるべきカットが撮りきれずに撮影が破綻する、というリスクもあります。


2. 撮影準備(キャスティング・ロケ地・美術・申請)

台本と絵コンテに沿って、撮影に必要な要素を並行して手配していきます。具体的には次のような工程です。

  • キャスティング:オーディション、出演者・モデル・ナレーターの選定と契約
  • ロケ地選定:候補地のロケハン、契約、使用料・拘束時間の調整
  • 美術・衣装:シーンに合わせた小道具・大道具・衣装・ヘアメイクの準備
  • 各種申請:道路使用許可、施設使用許可、私有地・商業施設での撮影許可など
  • 香盤表(撮影スケジュール表):撮影順序・出演者の出入り・スタッフ配置を時間単位で組む
  • スタッフ手配:照明・音声・メイク・スタイリスト・車両・ケータリング(飲食手配)

ここで重要なのは、すべての要素が撮影日に向けて連動しているという点です。たとえばロケ地が変わると香盤表が組み直しになり、出演者のスケジュール調整からやり直す、というように、ひとつの変更が全体に波及します。逆を言えば、変更を許容するほど準備期間と費用が膨らんでいくので、準備段階で方針を確定させきる判断力が、制作会社にもクライアント側にも求められます。


3. PPM(プリプロダクションミーティング)で最終確認

撮影準備が一通り整ったタイミングで、PPM(プリプロダクションミーティング)を開きます。クライアント、ディレクター、カメラマン、美術、衣装などの主要スタッフが一堂に会して、台本・絵コンテ・キャスト・ロケ地・美術・衣装・香盤表などを並べて最終確認するミーティングです。

PPMの目的は、撮影本番に入る前に全関係者の認識を完全に揃えることです。「事前にもっと詰めておけば」と撮影現場で気づくと、再撮影や仕様変更で大きなコストが発生してしまいます。PPMで方向性を確定させてから本番に入ることで、現場での即興判断を最小限に抑え、段取りどおりに撮影を進められる体制を作ります。


4. 撮影|段取りどおりに進める現場

撮影当日は、PPMで合意した香盤表に沿って撮影を進めていきます。カメラマン・照明・音声・メイク・スタイリスト・美術・制作進行など、案件によっては10人以上のスタッフが入る大規模な現場になるのが、演出型の特徴です。

ここで押さえておきたいのが、絵コンテの順番どおりに撮るとは限らないという点です。撮影順序は香盤表で決まり、同じロケ地のシーンをまとめて撮る、出演者の拘束時間に合わせて順序を入れ替える、ライティングの都合で逆順に撮るなど、現場の効率を最優先で組まれます。「シーン1→シーン2→シーン3」と進むこともあれば、「シーン4→シーン1→シーン7」のような飛び順で撮ることもあるのが、演出型の撮影現場です。完成形を頭に置きながら、香盤の順番で各カットを段取りよく押さえていく力が、ディレクター・カメラマンには求められます。

撮影日の拘束時間が長くなるため、スタッフの飲食・移動・宿泊なども含めて費用に乗ってきます。「撮影費」というよりも「撮影前後を含めた総合的なプロジェクト管理費」と捉えるのが、リアルな感覚です。物撮りや手順動画など中間域の案件では、これより小規模な現場で済むことも多いですが、香盤と絵コンテに沿って段取りで進める点は同じです。


5. 編集・ナレーション・MA

撮影後の流れは、ドキュメンタリー型とほぼ同じです。撮影素材から「使えるカット」を選んで構成を組む編集を行い、必要に応じてナレーション収録、MA(音声仕上げ)を経て完成します。

演出型では、台本・絵コンテに沿って撮影されているため、編集の段階で「素材から構成を作る」というより「事前に決めた構成に沿って素材を組む」進め方になります。CMやドラマの場合は、カラーグレーディング(色味の最終調整)や合成・VFXなどの仕上げが、オプションで加わるケースもあります。


試写・修正対応・納品(2系統共通)

制作工程の最終フェーズが、試写・修正対応・納品です。ドキュメンタリー型と演出型で本制作の進め方は大きく違いますが、「完成版を確認 → 必要があれば修正 → 納品」という後工程の流れは、ほぼ共通になります。


段階的な確認の進め方

最近は、ある程度仕上げた完成版を「試写」として一度にお見せする進め方ではなく、粗い編集の段階から段階的に確認を取りながら進め、全体が揃ったタイミングで「1回目の正式提出」をする流れが主流になっています。途中段階で方向性を確認できる分、後半の大きな手戻りを防ぎやすく、結果的に納期も読みやすくなります。

確認のスタイルも、編集スタジオで立ち会って確認する形は減ってきており、Smarveeでは9割以上の案件がデータ共有による「立ち会いなし」で進んでいます。共有された動画データをクライアント側で都合のよいタイミングで確認し、修正点を文書でまとめてフィードバックいただく、という流れです。立ち会いでの試写を行うのは、放送・大型イベントなど高額案件で、その場で複数の意思決定者の合意を取る必要があるケースに限られつつあります。


実写の修正対応の特徴|再撮影は重い

実写動画の修正対応で押さえておきたいのが、「編集段階で対応できる修正」と「再撮影が必要になる修正」では、重さが桁違いになるという点です。

  • 編集段階で対応可能:カットの差し替え、テンポ調整、テロップやBGMの変更、ナレーションの差し替え
  • 再撮影が必要になる修正:欠けているシーンの追加、出演者の言い回し変更、別アングル・別構図での撮り直し

編集段階の修正は柔軟に対応できる一方、再撮影はコスト・期間ともに大きな負担になります。ドキュメンタリー型でも演出型でも、再撮影を避けるためには、撮影前の準備(構成案・絵コンテ・PPM)で方針を固めておくことが何より大事になります。修正点はできるだけ「具体的に・1回でまとめて」共有していただけると、修正の往復回数が減り、納期遅延も防ぎやすくなります。


納品の流れ

修正対応が完了し、最終版でOKが出れば納品となります。最近はほとんどの案件でデータ納品となり、確認しておきたい項目は次のとおりです。

  • ファイル形式:MP4、MOVなど。Web公開、社内利用、放送用など、用途に応じて指定
  • 解像度・尺:Full HD(1920×1080)、4K、縦型(1080×1920)など。SNS用に複数フォーマットが必要な場合は、最初の発注段階で伝えておくとスムーズ
  • データの受け渡し方法:オンラインストレージやファイル転送サービスでの共有が一般的

撮影素材の保管については、Smarveeでは原則2年間を保管期間としてお約束しています(実運用上は、それ以降も保管されているケースがほとんどです)。「あの動画を15秒に短縮したい」「ナレーションだけ差し替えたい」といった追加対応が後日発生したとき、保管期間内であれば撮影素材を活かして再編集を進められます。


費用と期間の目安

実写動画の費用と期間は、ドキュメンタリー型と演出型で大きく異なります。準備工程の重さがそのまま、費用と期間に反映されてくるためです。


費用の目安

系統 費用感
ドキュメンタリー型 5分まで50〜70万円〜
演出型 内容により大きく変動(数百万円〜)

ドキュメンタリー型は、カメラマン+ディレクターの少人数体制で組めるため、5分までの動画なら50〜70万円〜が目安です。インタビューが1〜2人、撮影日が半日〜1日に収まるような規模感のケースに当てはまります。

演出型は、出演者・ロケ地・美術・衣装・申請といった準備工程の重さで、費用が大きく動きます。物撮りや小規模な手順動画なら数十万円〜、本格的なドラマやCMになると数百万円〜というレンジに広がります。「演出型はいくら?」という問いに一言で答えにくいのは、案件の作り込みの度合いで費用が桁単位で変わってくるためです。


制作期間の目安

系統 期間
ドキュメンタリー型 3週間〜
演出型 最低3か月〜

ドキュメンタリー型は、撮影前の準備が軽く、撮影自体も半日〜1日で済むケースが多いため、企画から納品まで3週間〜が目安になります。スケジュールが噛み合えば、もう少し短く納品できる場合もあります。

演出型は、PPM資料一式の準備、キャスティング、ロケ地選定、美術・衣装の手配、各種申請の完了などに時間がかかるため、最低3か月〜が現実的な目安です。出演者のスケジュール調整や許可申請の難易度によっては、半年以上かかるケースも珍しくありません。


費用が変動する主な要因

実写動画の費用は、次のような要素によって変動します。

  • 撮影日数:半日/1日/複数日でスタッフ拘束費が積み上がる
  • 出演者:一般人インタビュー/プロ俳優/タレント・著名人で大きく変動
  • ロケ地:自社施設なら無料、商業施設・ロケ地レンタルは使用料が発生
  • 美術・衣装:シーン作り込みのために小道具・大道具・衣装を準備するか
  • 各種申請:道路使用許可・施設使用許可など、申請が必要な場所での撮影
  • スタッフ体制:2名で済むのか、10名以上の体制が必要か
  • 編集・MAの作り込み:カラーグレーディング・VFX・音響オプションの有無

複数社から相見積もりを取るときは、これらの項目がそれぞれの見積書でどう分かれているかを比較すると、価格差の理由が見えてきます。


実写動画制作会社の選び方

実写動画制作会社の選び方|5つのチェック軸1ドキュメンタリー型・演出型のどちらに合った提案か実績数の多寡より、自社用途への理解度と提案の解像度を見る2ディレクター・カメラマンの体制案件に合った最適なチーム編成とディレクションができるか3プリプロから撮影本番までのワンストップ対応力外部リソースを含めて、全工程を取り仕切れるか4見積書の項目内訳と修正対応の範囲項目の粒度・修正回数・追加費用条件が明確か5撮影素材の保管と二次利用への柔軟性後日の追加対応・別バージョン制作に活用できる素材保管※価格の安さだけで決めず、総額と中身の両方を確認するのが鉄則
実写動画制作会社の選び方|5つのチェック軸

実写動画の制作会社は、ドキュメンタリー型と演出型のどちらに強みを持っているかで、提案の幅も得意な見せ方も大きく変わります。複数社で比較するときにチェックしておきたい5つの軸を、整理しておきます。


1. ドキュメンタリー型・演出型のどちらに合った提案ができるか

実写動画の制作会社は、ドキュメンタリー型と演出型で得意な進め方が変わります。インタビュー・社員紹介など現場対応力が問われるドキュメンタリー型と、台本・絵コンテ・PPMで作り込む演出型では、求められるディレクションの質も体制も、まったく違ってくるためです。

判断材料としては、ポートフォリオに似た系統の実績があるかも参考にはなりますが、それ以上に重要なのが、初回ヒアリングで「どんな進め方になるか」「どこにコストがかかるか」を具体的にイメージできる説明をしてもらえるかです。実績数の多寡ではなく、自社の用途に対する理解度と提案の解像度を見ておくとよいでしょう。中間域の物撮り・手順動画は、両方の経験がある会社のほうが、組み立てやすい傾向があります。


2. ディレクター・カメラマンの体制

実写動画の品質は、「誰が現場を仕切るか」で決まる部分が大きい手法です。ディレクターはインタビューの聞き手や演出判断、カメラマンは画作りや現場のライティング判断を担います。

体制としては、社内に固定スタッフを抱える会社、案件ごとにフリーランスや協力会社とチームを組む会社、その両方を使い分ける会社など、さまざまです。どれがベストということはなく、重要なのは案件の内容に合わせた最適なチームを編成できるか、そしてそのチームを責任を持ってディレクションできるかです。可能であれば見積もり段階で、実際に担当するディレクター・カメラマンの過去作品を見せてもらえると、相性を判断しやすくなります。


3. プリプロから撮影本番までのワンストップ対応力

特に演出型では、プリプロ(撮影準備)の品質が制作物のクオリティを左右します。キャスティング、ロケ地選定、美術・衣装、各種申請、スタッフ手配といった工程を、制作会社が責任を持って取り仕切れるかが、選定軸になります。

ここも、すべて社内で完結する体制が優れているわけではなく、「外部リソースを含めて、全体を取り仕切れるか」がポイントです。Smarvee自身も、案件ごとに得意分野のクリエイター・協力会社とチームを組み、ディレクション側で全体を束ねるスタイルで動いています。


4. 見積書の項目内訳と修正対応の範囲

見積書では、次の3点を必ず確認しておきましょう。

  • 項目の粒度:企画・撮影・編集・修正対応などの内訳が分かれているか
  • 修正対応の範囲:何回まで/どの段階での修正が含まれているか
  • 追加費用の発生条件:撮影日数の延長、再撮影、ナレーション差し替え、BGM追加など

価格の安さだけで決めると、後から「これも追加費用です」が積み重なって、結局高くつくケースもあります。総額と中身の両方を確認するのが鉄則です。


5. 撮影素材の保管と二次利用への柔軟性

実写動画は撮影が一度きりのため、撮影素材の保管期間と二次利用の柔軟性も、確認しておきたいポイントです。「動画を15秒に短縮して別バージョンを作りたい」「ナレーションだけ差し替えて新しいシリーズに展開したい」といった追加対応が後日発生したとき、撮影素材が残っているかどうかで、進めやすさが大きく変わります。Smarveeでは原則2年間の保管をお約束しています。

自社に合う実写動画の進め方を相談したい方へ

撮影目的・予算・スケジュールをお伺いして、過去の類似事例とあわせて最適な進め方をご提案します。



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まとめ|実写動画を選ぶ判断軸

ここまで、実写動画を制作会社に外注する際の工程・費用・修正対応を、ドキュメンタリー型と演出型の2系統で整理してきました。最後にポイントを振り返ります。


2系統の使い分け

実写動画の選び方を一言でまとめると、

  • リアリティ・本物の説得力を出したい/予算を抑えたい → ドキュメンタリー型
  • 世界観や演出をしっかり作り込みたい/訴求を強くしたい → 演出型
  • 商品の質感や手順を確実に伝えたい → 2系統の中間(物撮り・手順動画)

という分け方になります。同じ実写でも、どちらの系統に寄せるかでプリプロ(撮影準備)の重さが大きく変わり、それが費用と期間に直接反映されてきます。「どちらが優れているか」ではなく、「目的・予算・期間に合っているか」で選ぶのが、実写動画選びの基本です。


実写・アニメ・AI動画の全体像

実写動画は、アニメーション動画やAI動画と並ぶ、動画制作の主要な選択肢のひとつです。それぞれに得意な領域があり、案件の目的によって使い分けるのが現実的です。実写・アニメ・AI動画の全体像と使い分けは、別記事「動画制作の進め方完全ガイド」で整理していますので、合わせてお読みいただくと、判断軸がより固まります。

動画制作の進め方完全ガイド|実写・アニメ・AI動画の工程と選び方

動画制作の進め方を、実写・アニメ・AI動画のパターンで横並びに整理。費用・期間・向いている用途の比較から、問い合わせ〜納...

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よくある質問(FAQ)

Q.
実写動画の費用相場はどのくらいですか?
A.系統によって大きく変わります。ドキュメンタリー型(インタビュー・イベント・社内記録など)は5分までで50〜70万円〜が目安です。演出型(ドラマ・CM・本格的な物撮りなど)は内容により大きく変動し、小規模なら数十万円〜、本格的な案件では数百万円〜というレンジになります。
Q.
制作期間はどのくらいかかりますか?
A.ドキュメンタリー型は3週間〜、演出型は最低3か月〜が目安です。ドキュメンタリー型は撮影前の準備が軽く、撮影自体も半日〜1日で済むケースが多いため短納期に対応しやすい一方、演出型はキャスティング・ロケ地選定・美術・衣装・申請などのプリプロに時間がかかります。公開日が決まっている場合は、最初の打ち合わせで必ずお伝えください。
Q.
ドキュメンタリー型と演出型はどう使い分ければいいですか?
A.「現場で起きていることをそのまま捉えたい」「リアリティ・本物の説得力を出したい」場合はドキュメンタリー型、「台本に沿って作り込みたい」「世界観や演出を強く打ち出したい」場合は演出型が向きます。物撮り・手順動画は2系統の中間で、撮影規模はドキュメンタリー型に近く、台本・絵コンテのプリプロは演出型寄りになります。
Q.
出演者の手配はどこまでお願いできますか?
A.制作会社によって対応範囲が違いますが、一般的にはタレント・モデル・プロのナレーターなどのキャスティングまで含めて対応できる会社が多くなっています。インタビュー対象者がクライアント側の社員・関係者の場合は、撮影日程の調整や撮影意図の事前共有を、クライアント側で進めていただくケースが多くなります。
Q.
撮影許可の申請も対応してもらえますか?
A.道路使用許可、施設使用許可、私有地・商業施設での撮影許可などの申請は、制作会社側で対応するのが一般的です。ただし、申請には数週間〜1か月以上かかるケースもあるため、撮影スケジュール全体のなかで申請期間を確保しておく必要があります。難易度の高いロケ地(観光地、商業施設など)では、撮影自体ができない可能性もあるので、ロケ地候補の段階で申請可否を確認しておくのがおすすめです。
Q.
実写・アニメ・AI動画はどう使い分ければいいですか?
A.信頼感や本物の説得力を出したいなら実写、仕組みや概念を整理して伝えたいならモーションアニメ、世界観・ブランドを強く打ち出したいならセル・手書きアニメ、短納期や複数パターン展開・テイストの自由度を求めるならAI動画が向いています。「何を伝えたいか × どれくらいの予算と期間か × 修正対応をどう進めたいか」の3軸で考えると整理しやすくなります。詳しくはハブ記事「動画制作の進め方完全ガイド」で各手法の比較表とともに解説しています。

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