【動画のAIO/SEO対策】AIのための動画の名札 Video Object
以前の記事で、動画はAIにとって「中身が読めない情報」になりやすいという話をしました。動画の中で話されている内容、映っている操作手順。こうした情報は、テキストのようにAIが参照したり要約したりしにくい状態にあります。
【動画が不良債権化する?】AI時代に生き残る動画資料の作り方
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今回は、その「具体的に何をすればいいのか」の話です。自社のWebサイトに動画を掲載している方、またはこれから掲載しようとしている方に向けて、動画の情報をAIに届けるための仕組み「VideoObject」について紹介します。
AI検索の時代に、動画は「存在しないもの」になりかねない

検索の使い方が変わりつつあります。検索結果のリンクを順番にクリックして情報を探すのではなく、AIが要約した回答をそのまま読む。リンク先のページを開かずに検索が完結する、いわゆる「ゼロクリック検索」と呼ばれる行動が増えています。
AIが「回答の材料」に使うのは、読めるデータだけ
GoogleのAI検索(検索結果の上部にAIが要約を表示する機能)やPerplexityのような対話型AI検索では、AIがWeb上の情報を読み取り、質問への回答を自動で生成します。しかし、2026年4月段階で実用的な意味でAIが回答の材料にできるのは、テキストとして読み取れるデータに限られます。
動画の映像そのものをAIが内容を直接理解することは可能になっていますが、膨大な計算トークンが必要であり、まだ実用的とは言い難い状況です。結果として、Webサイトに動画を埋め込んであっても、「そこに動画がある」という事実すらAIに伝わっていない可能性があります。
うちのサービス紹介動画、AIの回答に出てきたことある?
自社名やサービス名でAI検索を試してみてください。テキストで書かれた情報は回答に反映されても、動画の内容が引用されることはほとんどないはずです。せっかく動画で丁寧に説明しているサービスの特徴や導入メリットが、AI検索の世界では「存在しないもの」になっている。これが今起きていることです。
Web掲載する動画のAIO/SEO対策が不安なら
動画の「名札」をつける仕組み、VideoObject

では、AIに動画の存在と内容を伝えるにはどうすればいいか。その方法の1つが、VideoObject(ビデオオブジェクト)と呼ばれる構造化データの設定です。
難しそうな名前だが、やっていることはシンプル
「構造化データ」「スキーマ」「JSON-LD」。こうした言葉が出てくると技術者の領域に見えるかもしれません。ただ、やっていることはとてもシンプルです。動画について「タイトルは〇〇」「再生時間は〇分〇秒」「サムネイル画像はこのURL」「内容はこういうもの」という情報を、AIや検索エンジンが読める形式で書いておく。AIに対しては、動画に「名札」をつけてあげる作業が重要なのです。
この名札があると、AIは「このページにはサービス紹介の動画があり、2分の長さで、こういう内容が説明されている」と理解できるようになります。
AIの検索結果や回答に反映される可能性が生まれる
VideoObjectを設定しておくと、検索結果に動画のサムネイル画像と再生時間が目立つ形で表示されるようになることがあります。さらに、AIが回答を生成する際に、動画の情報を材料として参照する可能性も高まります。設定していなければ、その可能性はゼロです。
動画に「目次」をつけて、区間ごとにAIに伝える
VideoObjectには、動画の特定の区間に名前をつけて登録できる追加設定もあります。たとえば「0:00〜0:30 サービス概要」「0:30〜1:15 導入事例」のように設定しておくと、検索結果上で動画の目次のように表示されることがあります。
AIにとっても「この動画の〇秒から〇秒の区間で、導入事例が説明されている」という粒度で情報を読めるようになるので、回答の精度が上がります。
設定に必要な情報は5つだけ

VideoObjectを設定するために用意する情報は、実はそれほど多くありません。
基本の5項目
動画のVideoObjectに必要な情報は以下の5つです。
- 動画のタイトル:AI検索や検索結果に表示される動画の名前
- 動画の説明文:動画の内容を簡潔に書いたテキスト。AIが「この動画は何についてのものか」を判断する材料になる
- サムネイル画像のURL:検索結果に表示される画像
- アップロード日:公開日(YYYY-MM-DD形式)
- 再生時間:動画の長さ
どれも、動画を作った時点で手元にある情報ばかりです。新しく何かを準備する必要はほとんどありません。
実際の書き方(コードの例)
VideoObjectは、Webページの中に以下のようなコードを埋め込む形で設定します。コードの中身は、上で紹介した5項目をそのまま並べたものです。
「@context」と「@type」は、このコードが何のルールに基づいているかをAIや検索エンジンに伝える「宣言文」です。schema.org は、GoogleやMicrosoftなどが共同で作った「情報の書き方の共通ルール集」で、VideoObject はその中の「これは動画の情報です」という分類名です。この2行は毎回同じ内容で構いません。書き換える必要はありません。
そして「name」がタイトル、「description」が説明文、「thumbnailUrl」がサムネイル画像のURL、「uploadDate」が公開日、「duration」が再生時間です。この5つを埋めるだけで、AIに「ここに動画がありますよ」と伝えることができます。
なお、「動画のタイトルをここに書く」のような日本語の部分だけを自社の情報に書き換えてください。前後のダブルクォーテーション( ” ” )はそのまま残します。コロン( : )やカンマ( , )も消さないでください。触るのは日本語の部分だけ、と覚えておけば大丈夫です。
制作会社やWeb担当者にこのコードを見せて「これを入れてほしい」と伝えれば、対応してもらいやすくなります。
再生時間の書き方と、便利な変換ツール
1つだけ慣れが必要なのが、再生時間の書き方です。VideoObjectでは「PT1M33S」のように、アルファベットと数字を組み合わせた独特の形式で記述します。
- 1分33秒 → PT1M33S
- 2分00秒 → PT2M
- 45秒 → PT45S
- 1時間5分20秒 → PT1H5M20S
PTはそのままにし、〇時間▲分■秒の動画なら、「PT〇H▲M■S」と記入するだけです。
また、先ほど紹介した「動画の目次」を設定する場合は、開始秒数と任意で終了秒数を数字で指定します。「1分15秒から」なら「75」秒です。
「動画の名札」は、制作の段階で一緒に準備できる

「やることはわかった。でも誰がやるのか?」。これが現実的な問題です。
制作会社に依頼するなら「VideoObject対応」できるか聞いてみる
前回の記事で「制作会社に聞いてみてほしいこと」として、AI活用を見据えた対応ができるかどうかを挙げました。VideoObjectの設定は、まさにその具体的な一例です。
動画の制作を依頼する際に、「Webサイトに掲載するときのVideoObject設定も対応してもらえますか?」と一言添えるだけで、納品後の手間が大きく変わります。タイトル、説明文、再生時間、サムネイル。これらの情報は制作過程で自然に生まれるものなので、制作と同時に整えてしまうのが最も効率的です。
WordPressなら、プラグインで一部対応できることもある
Webサイトの管理にWordPressを使っている場合、Yoast SEOやRank Mathといったプラグインが構造化データの出力に対応していることがあります。ただし、動画の目次設定など細かい部分は、プラグインだけではカバーしきれないケースもあります。
「名札なし」の動画は、AI検索の世界で見つけてもらえない

AI検索がさらに普及していくと、「AIが回答に使える情報かどうか」がWebサイトの価値を左右するようになります。テキスト情報はAIが読めるのに、動画の情報だけAIから見えない。その差は、時間が経つほど大きくなっていきます。
VideoObjectの設定は、動画を「載せただけ」の状態から「AIに読める資産」に変える、小さいけれど確実な一歩です。次に動画をWebサイトに掲載するとき、「この動画にはちゃんと名札がついているか?」と確認するところから始めてみてください。
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