動画の月次報告に「視聴回数:87回」と書いたあと、次に続けるべきは何でしょうか。
第1部では、撒いた場所・クリック・視聴の深さ・商談貢献の4ステップで報告書を組み立てるところまでをまとめました。第2部では、この報告書を「来月もっと良くする」ための仕組みに変える話に進みます。つまり、動画のKPI設計と月次運用です。
本記事ではKPIを「クリック・視聴・行動」の3層で組み立て、中小企業でも回せる月次運用フローに落とし込みます。さらに第1部で触れたUTMを「実際に使う」ために、社内Web担当・外注先サイト運用会社とどんな段取りが必要かもお伝えします。
第1部のおさらいと、第2部で伝えたいこと
ここまで第1部「動画の効果測定、何から始める?」を読まれた方には、第2部の役割を最初にお伝えします。第1部をまだ読まれていない方も、まずは1分の動画で全体像をつかんでから進めるとスムーズです。
第1部で扱った範囲
第1部では、BtoB動画は再生数100回未満が出発点になることを前提に、撒いた場所 → クリック → 視聴の深さ → 商談貢献の4ステップで報告書を組み立てる流れをまとめました。YouTubeの再生数中央値が35回、100回未満の動画が65.44%という数字を踏まえ、「再生数の絶対値」ではなく「内訳の解像度」で語る方針を共有しています。
UTMという、自社サイトのURLに付ける流入元の印についても、仕組みと「自社サイトのURLにしか効かない」「後付けで遡れない」という注意点を押さえました。
第1部の本文はこちらです。
第2部で伝えたいこと
第2部では、第1部で「集めた数字」を「運用に変える」ところに進みます。具体的には、動画のKPIを「クリック・視聴・行動」の3層で設計し、毎月変えない指標と毎月見直す指標を分けて月次運用に落とし込みます。
さらに、第1部で導入したUTMを「実際にGA4で見る」ために、社内Web担当・外注先サイト運用会社とどんな段取りを組めばいいかもお伝えします。UTMの仕組み自体は第1部で扱っているので、ここでは動かすために必要な調整にフォーカスします。
加えて、第1部の続編案内で予告した「採用/販促/社内研修/展示会/IRの目的別早見表」もこの記事内に組み込みます。3層のKPIを目的ごとに重み付けする一覧表として、各シーンに当てはめやすい形で整理しました。
動画KPIは「クリック・視聴・行動」の3層で設計する
第1部では、報告書を「撒いた場所・クリック・視聴の深さ・商談貢献」の4ステップで組み立てる流れを扱いました。第2部では、この4ステップを月次運用のKPIに翻訳します。
4ステップのうち「撒いた場所」は施策の仕込み段階なので、運用フェーズで毎月見るのは残りの3つ、つまりクリック・視聴・行動になります。この3つをそれぞれ独立した「層」として扱うのが、本記事で提案するKPI設計です。
動画KPIの3層構造。クリック層・視聴層・行動層を独立した観測点として見る
なぜ階層で分けるのか
KPIを「再生数」のひとつだけで運用すると、月次会議で何を議論すればいいかが見えなくなります。再生数が先月90回・今月100回だったと並べても、それが良かったのか悪かったのか、次にどこを変えればいいかが読み取れません。
一方で、「再生数」「視聴維持率」「クリック率」「視聴完了率」「フルウォッチ率」と指標をたくさん並べると、今度はどれを優先して上げに行くべきかが分からなくなります。指標が多すぎて、毎月やることを決められないという状態です。
階層で分けると、この両極端から抜け出せます。「先月はクリック層は伸びたが、視聴層で落ちている。来月は視聴層に手を打とう」という形で、月次の意思決定に直結する単位で数字を扱えるようになります。
3層は「漏斗」ではなく、独立した3つの観測点として扱う
KPIを階層で語ると、「マーケティングのファネル(漏斗)と同じでは?」と感じる方もいるかもしれません。構造は近い考え方ですが、運用上は少し違う扱い方をします。
ファネルは「最上層から順に数字が減っていく」前提で、上に水を多く入れるほど下も増える、という見方をします。一方、本記事の3層は各層を独立した観測点として扱い、月ごとにどの層に手を入れるかを選ぶ運用です。Aが上がればBも上がるという連鎖の関係ではなく、それぞれの層は別のやり方で動きます。
たとえばクリック層が伸びていなくても、視聴層では「最後まで見た人の比率が10%上がった」ということは起こり得ます。クリック層と視聴層は別のやり方で動くため(クリック層は媒体・サムネ・冒頭文、視聴層は動画の中身・尺・テンポ)、層ごとに独立して評価したほうが、来月やることを絞りやすくなります。
3層と第1部の4ステップの対応
第1部の4ステップを3層に当てはめると、次のようになります。
| 第1部の4ステップ | 第2部の3層KPI | 主な指標 |
|---|---|---|
| 撒いた場所 | (仕込み段階) | 媒体リスト・配布計画 |
| クリック数 | クリック層 | 媒体別クリック数、クリック率(CTR) |
| 視聴の深さ | 視聴層 | 視聴維持率、平均視聴時間、フルウォッチ率 |
| 商談貢献 | 行動層 | フォーム遷移、商談言及、展示会立ち止まり |
第1部の章立てがそのまま3層に対応する設計になっています。すでに第1部のフォーマットで報告書を運用している方は、章タイトルを「クリック層」「視聴層」「行動層」に書き換えるだけで第2部のKPI運用に移行できます。
次の章では、各層で「現実的な目標値」をどう置くかを見ていきます。
層ごとの指標と現実値の置き方
3層に分けたら、次は各層で「どの指標を見るか」「現実的な目標値はどこか」を決めます。第1部で扱った数字をベースに、月次運用で実際に並べる指標と、その値の解釈の仕方をまとめます。
3層×主な指標×現実値の目安マトリクス
クリック層:媒体別の数字を「自社の3ヶ月平均」で見る
クリック層で見る指標は、媒体別のクリック数とクリック率(CTR)の2つで十分です。媒体は第1部で扱った「メルマガ/自社WEB/SNS/QR/営業の個別メール」が中心になります。
クリック率は媒体・業種・配信タイミングで大きく振れるため、「BtoB動画ならこの数字」という確かな業界平均はありません。業界平均がはっきり分かれば苦労せず、分からないからこそ自社の数字で絶対評価していくしかないのが現実です。
実務では、自社の過去3ヶ月平均を「基準値」にして、今月がそれに対してどう動いたかを見るほうが意思決定に直結します。初月から数ヶ月は基準値を作る期間と割り切り、絶対値の良し悪しは判断しないのがコツです。
参考までに、BtoB向けの大まかな目安として以下の数字が引かれることがあります(業種・期間で大きく振れる前提です)。
- メルマガ:送信数に対して1〜3%、開封者ベースでは5%前後
- SNS:表示(インプレッション)に対して0.5〜2%
- QRコード:チラシ配布数に対して1〜5%程度
これらは「初月の参考値」程度で扱い、自社平均が溜まってきたら徐々に置き換えていきます。
視聴層:維持率の曲線を「スクショで残す」ところから
視聴層の指標は、第1部で扱った3つをそのまま使います。
- 視聴維持率:動画のどこまで見られたかの曲線
- 平均視聴時間:1再生あたりの平均秒数
- フルウォッチ率:最後まで見た人の割合
視聴層の指標は「動画の性格」で大きく振れます。BtoBの場合、おおまかに次の二極に分かれる印象があります。
- ばらまき型の動画(展示会・SNS・広告経由など、不特定多数に届ける動画):再生数は出るが、フルウォッチ率は低めに出やすい
- クロージング型の動画(商談前後で営業から個別送付する動画、提案資料に紐づく動画など):再生数は少ないが、フルウォッチ率は高く出やすい
つまり、フルウォッチ率を絶対値で「○%が標準」と言うことに意味は薄く、動画の性格と母数を踏まえて自社のパターンを把握するほうが運用に直結します。フルウォッチ率は月次で大きく動く指標ではなく、性格と母数の構造を数ヶ月単位で見る指標です。
第1部でも触れたとおり、90回再生で27人がフルウォッチなら30%です。これは「ばらまき型としてはやや高め、クロージング型としては普通」という解釈になります。母数の小ささより、「最後まで見た人が一定数いる」事実そのものに価値があります。
月次運用でとくに大事なのは、視聴維持率の曲線をスクショ(または数値のCSV)でそのまま残しておくことです。曲線の形は数値だけでは伝わらない情報を含んでおり、月ごとに並べると傾向が読み取りやすくなります。
具体的に曲線のどこに着目し、どう改善につなげるかは第3部で扱います。第2部では、曲線を残す習慣をつけるところまでが運用の入り口になります。
行動層:絶対値より「形跡の累積」で見る
行動層は、第1部で触れたとおり動画単体の貢献を切り分けることは原理的に難しい領域です。商談には複数の接点が絡むため、「この月の動画でいくら売れた」という数字を出すことは諦めます。
代わりに、行動層では形跡を累積で記録する運用に切り替えます。
- 動画ページ → 問い合わせフォーム遷移(GA4で取得、月別カウント)
- 商談での動画言及件数(営業ヒアリング、月別カウント)
- 展示会・店頭の立ち止まり推定(運営スタッフカウント、イベント単位)
絶対値ではなく累積で見る理由は、行動層の数字は月ごとの振れ幅が大きいからです。たとえば「先月は商談言及3件、今月は0件」だけ見ると不安になりますが、半年で累積15件あれば「動画は商談接点として機能している」と言えます。
動画の効果は短期では出ません。商談には複数の接点が絡み、検討期間も数ヶ月〜半年に及びます。動画を出した翌月に問い合わせが増えなくても、それは「効果がない」ことを意味しません。
そのため、月次会議で行動層について議論するのは、3ヶ月以上の累積が溜まってからで十分です。毎月の数字に一喜一憂しないことが、行動層を続けるコツになります。
中小企業でも回せる月次運用フロー
3層のKPIを設計しても、運用が回らなければ意味がありません。中小企業の動画担当者は他業務との兼務が多いので、負担を最小化しつつ毎月続けられる運用を組むことが大事になります。
ここでは、月初・月中・月末の3つのフェーズに分けて、それぞれ何をやるかを整理します。
動画運用の月次カレンダー。月初・月中・月末のタスクと所要時間目安
月初:観測対象と見直すところを「先に決める」
月初にやるのは、今月の観測対象と見直すところを書き留めておくことです。具体的には次の3点を1枚のシート(スプレッドシートでも紙メモでも可)に書きます。
- 今月撒く動画(タイトル・媒体・配信日)
- 今月のクリック層/視聴層/行動層のKPI記録欄(数字を埋める枠だけ用意)
- 今月見直すところ(後述)
先に枠だけ作っておくのがポイントです。月末にゼロから組み立てようとすると、時間が足りなくなりやすくなります。
月中:観測に集中する。発見があれば記録だけ残す
月中は、観測に集中します。深掘り分析や、何を変えるかの議論はこの時点ではしません。月初に作った枠に、取れた数字を都度書き込んでいく作業です。
- 配信した動画のクリック数(メルマガ・SNS・QRなど媒体ごと)
- 視聴維持率の曲線(スクショ)
- フォーム遷移件数や商談での言及
何か気になる動きがあっても、「次にやることを決めるのは月末」と割り切る形にします。月中に思いつきでやり方を変えると、観測の一貫性が崩れて、月末の振り返りが難しくなります。
月末:振り返り → 来月見直すところを1つだけ決める
月末は、月初に作ったシートを見ながら、次の3つを順番にこなします。
- 3層の数字を並べる(クリック層・視聴層・行動層、それぞれ過去3ヶ月との比較)
- 層ごとに「動いたか/動かなかったか」を確認(絶対値ではなく相対変化で判断)
- 来月見直すところを1つだけ決める(例:来月はクリック層を上げに行く、視聴層は据え置きで観測する)
3番目の「見直すところを1つだけ」がいちばん大事です。中小企業の担当者が毎月3つも4つも見直すところを持つと、最後までやり切るのが難しくなります。1ヶ月に1点だけ動かす前提で運用すると、結果の解釈もしやすくなります。
毎月変えない指標と、毎月見直すところを分ける
月次運用を続けるコツは、「毎月変えない指標」と「毎月見直すところ」を分けて扱うことです。
毎月変えない指標(固定で記録するだけ)
- 媒体別クリック数・CTR
- 視聴維持率の曲線
- フルウォッチ率
- フォーム遷移件数
- 商談での動画言及件数
これらは毎月同じフォーマットで記録するだけ。値の良し悪しは判断せず、ただ並べて蓄積する運用に近づけます。
毎月見直すところ(今月やること)
動画本体を作り直すのはコストに直結するため、月次運用で変えるところは動画本体を作り直さずに変えられる範囲で組み立てます。具体的には、配信前後の周辺パーツの調整が中心になります。
- サムネ画像を変えてみる
- 概要文を書き直す(YouTube概要欄、自社サイトの動画ページ説明文、メルマガ本文の動画紹介テキストなど)
- 状況によっては字幕を追加する(視聴維持率が冒頭で落ちている場合、SNSの音声オフ視聴に対応する場合など)
これらは仮説と結びついた一時的な変更です。1ヶ月で結果を見て、効果のあった変更は定着させ、反応が弱かったものは別の角度に切り替えていきます。動画運用そのものは続ける前提で、見直すところだけを毎月入れ替えていくイメージです。
動画のKPI設計・月次運用、まるごと相談したい方へ
現状の動画運用の整理から、UTMの段取り、月次レポートの組み立てまで、貴社の体制に合わせてご提案します。
UTMを「使う」ために必要な段取り
第1部でUTMの仕組み(自社サイトのURLに付ける流入元の印、source・medium・campaignの3点セット、後付けで遡れないこと)を扱いました。仕組みを理解した動画担当者が次に直面するのが、実際に発行して、自分の動画運用にどう組み込むかという段取りの問題です。
UTMの発行自体は特別なツールがなくてもできますが、自社のWeb運用に組み込むためには、事前に話を通しておくべき人が2系統います。本章ではここを詳しく見ます。
UTM運用の共有体制図。動画担当者から、Web担当者または外注先、GA4抽出、月次レポートへの流れ
事前ネゴ①:UTMを発行する前に、Web担当者か運用会社へ一声かける
UTMは特別なツールを使わなくても、URLの末尾にパラメータを書き足すだけで発行できます。ただし、それを自社の動画担当が独自に運用し始める前に、社内のWeb担当者か、サイト運用を委託している会社に一声かけておくのが安全です。
理由は次の3つです。
- UTM命名の重複や命名規則のズレを防ぐため:他施策(広告キャンペーン、リード獲得施策など)で既にUTM運用していることがあります。自社内でsourceやmediumの命名規則がある場合、動画運用だけ別ルールにすると、後でGA4のレポート画面が混乱します
- GA4側のレポート設定に影響するため:UTM運用が始まると、GA4のレポート画面で新しいsource・mediumが見えるようになります。事前に伝えていないと、Web運用側で「これは何のキャンペーンだ?」と問い合わせが返ってくることがあります
- 既存のUTMルールに乗り入れるほうがコストが低いため:会社によっては既にUTMの命名規則を整備しているケースがあります。動画担当が独自に始めるより、既存ルールに動画キャンペーンを足してもらう方が、運用が長続きします
具体的に話す相手は、社内にWebチームがあればその担当者、外注している場合はサイトを実際に運用している制作・運用会社の担当者になります。Web制作した会社と運用代行している会社が違うケースもあるので、まず「今のGA4を誰が見ているか」を確認するところから始めます。
「動画運用でUTMを使い始めたい、命名規則は今あるものに合わせたい」と一言伝えるだけで、進めやすくなります。
事前ネゴ②:GA4からの抽出依頼ルートをセットで決める
UTMを付けてURLを撒いても、GA4側でその数字を見られる人を確保しておかないと、運用としては成立しません。
中小企業の動画担当者がGA4を直接触れないケースは多く、よくあるパターンは次のいずれかです。
- 社内のWebチーム(または兼務のマーケ担当)がGA4を見ている
- サイト運用を委託している会社がGA4を見ている
- GA4は導入されているが、ログインアカウントが誰か分からない/引き継がれていない
最後のケース(誰がGA4を見ているか不明)は、現場ではしばしば発生します。この場合は、UTMを付ける前にまずGA4の管理者を確認するところから動きます。
GA4の管理者が分かったら、月次運用に組み込みやすい形で抽出依頼の動線を決めておきます。たとえば次のようなパターンがあります。
- 月初に依頼テンプレを送る:「先月分の、utm_campaign=video_2026spring のセッション数とフォーム遷移件数を抽出してください」と定型文で依頼する
- GA4の閲覧権限だけもらう:分析はWeb担当に任せつつ、自分は数字を見るだけのアクセス権をもらう
- 共有レポート(探索レポート)をWeb担当に作ってもらう:URLを共有してもらえば、自分でログインしなくても定期確認できる
これらの中から、Web担当の負担と動画担当の必要情報のバランスでルートを決めます。UTMを発行する前に「抽出依頼のルート」までセットで段取りしておくと、月次運用の最初の月から数字が見られる状態になります。
落とし穴:YouTube直リンクではUTMが機能しない(念押し)
第1部でも触れたとおり、メルマガやSNSにYouTubeのURLを直接貼ってしまうと、UTMの恩恵を受けられません。UTMはGA4が読み取る仕組みなので、着地点が自社サイトでないと自社のGA4には届かないからです。
動画運用を始める前に、「動画を見せたい時はまず自社サイトの動画ページに誘導する」という導線を、Web担当者・運用会社と共有しておきます。具体的には、メルマガ・SNS・QRに貼るURLはすべて自社サイトのページ宛にして、そのページ内にYouTube埋め込みを置く形にします。
ここを最初に握っておかないと、せっかくUTMを発行しても「メルマガからYouTubeに直接飛んでいて、GA4では数字が見えない」という運用に陥ります。
目的別の重み配分早見表(採用/販促/社内研修/展示会/IR)
3層のKPIをすべての動画に同じ比重で適用するのは現実的ではありません。動画の目的によって、重視すべき層と主指標は変わります。
ここでは、第1部の続編案内で予告した「採用・販促・社内研修・展示会・IR」の5目的について、3層KPIの重み配分と主指標を一覧化します。自社の動画がどの目的に近いかを当てはめ、重み配分の参考にしてください。
| 目的 | 重み配分 (クリック/視聴/行動) |
主に見る指標 | 目的特有のポイント |
|---|---|---|---|
| 採用動画 | 中/高/高 | 応募数、視聴維持率、求人媒体経由のクリック数 | 応募という明確なCV指標がある。求人媒体経由の流入比率が大きく、媒体別のクリック計測が重要 |
| 販促動画 (BtoBサービス・商品紹介) |
高/中/高 | フォーム遷移、商談での動画言及、媒体別CTR | 行動層の数字が出るまで数ヶ月〜半年。広告・SNS連動でクリック層の動きが見えやすい |
| 社内研修動画 | 中/高/低 | 視聴維持率、フルウォッチ率、研修テストとの連動 | 視聴層が最重要。GA4管轄外の指標(研修テスト結果、業務定着率)と合わせて評価する |
| 展示会動画 | 低/低/中 | 立ち止まり人数、QR読み取り数、展示会後の商談連動 | 視聴の深さはオフライン目視カウントが中心。GA4で測れる範囲が限定される |
| IR動画 (株主総会・決算説明会) |
中/高/中 | 視聴維持率、IRページ滞在時間、株主からの質問・問い合わせ件数 | 視聴層が信頼形成の指標として重要。再生数の絶対値より「想定する株主層が最後まで見たか」 |
重み配分の使い方
この表は、今月撒く動画がどの目的に近いかを判断し、観測する指標の優先順位を決めるために使います。
たとえば「採用動画なら、視聴層と行動層を厚く観測し、クリック層は媒体別に分けて取る」「展示会動画なら、GA4の数字より展示会場での立ち止まり推定を優先する」といった具合に、毎月のKPI記録シートの観測項目を目的別に切り替える形で運用します。
すべての層を同じ比重で見ようとすると観測コストが膨らみます。動画の目的を最初に確認し、観測の比重を意識的に偏らせるのが、続けられる運用のコツです。
複数目的の動画の扱い
実務では「事業紹介と採用を兼ねる」「展示会で使った動画をWebでも展開する」など、複数目的を兼ねる動画も多くあります。この場合は、主目的を1つ決めて、その目的の重み配分で観測するのが基本です。
副次目的の数字も記録は残しますが、月次会議での評価軸は主目的に絞ると、判断が早くなります。
100回未満でも「次の一手」につながる報告書の書き方
第1部では、報告書を「マトリクスを月次で埋める」ところまで扱いました。第2部では、その埋めた数字を来月の意思決定に変換するところまで進みます。
報告書を「埋めるだけ」で止めずに「次の一手につなげる」には、月末の3つのステップを習慣化します。
ステップ1:今月の数字を3層に分けて並べる
月初に作ったKPI記録シートから、今月の数字を3層に分けて1ページに並べます。第1部のマトリクスを使っている場合は、そのままクリック層・視聴層・行動層の3グループに振り分け直すだけです。
並べるときのコツは、過去3ヶ月との比較を一緒に書くことです。「今月のCTRは2.1%、過去3ヶ月平均は1.8%」のように自社平均との差分を見ると、今月の動きが意味を持ち始めます。
ステップ2:層ごとに「動いた/動かなかった」を一言で書く
数字を並べたら、層ごとに今月の所感を一言だけ書きます。
- クリック層:「メルマガが先月より20%伸びた。配信曜日を変えた効果か」
- 視聴層:「視聴維持率の曲線が30秒地点で大きく落ちる傾向は先月と同じ」
- 行動層:「商談で動画言及2件、累積11件」
所感は2〜3行で十分です。長く書こうとすると続かなくなります。「動いた層」「動かなかった層」「気になる兆候」の3点が押さえられていれば、報告書として機能します。
ステップ3:来月見直すところを1つだけ書き出す
最後に、来月変える1点を書き出します。先ほどの月次運用フローの章でも触れたとおり、見直すところは1つに絞るのが続けるコツです。
- 見直すところ(来月):「サムネ画像をAパターンからBパターンに変更」
- 仮説:「冒頭3秒で内容が伝わるサムネに変えると、視聴維持率の冒頭離脱が下がるはず」
- 評価方法:「来月の視聴維持率、30秒時点の数値で判断」
このフォーマットで見直すところが記録されていれば、翌月の月末に「先月見直したところはどうだったか」を確認するだけで振り返りが終わります。
なお、ここまでの3ステップは、第1部の表テンプレ(媒体別クリック数/視聴の深さ/商談・CVの形跡)にそのまま乗せられます。第1部の運用を3ヶ月続けた方は、各層に「所感」と「来月見直すところ」を書き足すだけで、第2部の運用に移行できます。
第3部では「動画の中身を磨く」話に進みます
第1部で「数字を取る仕組み」を、第2部で「数字を運用に変えるKPI設計と月次フロー」を扱いました。ここまでで、動画の成果を観測し、来月見直すところを決める土台ができます。
第3部では、その見直すところで実際に動かす「動画の中身・見せ方」を詳しく見ます。第2部で「詳しくは第3部で」と触れてきた部分です。
- サムネの磨き方:クリック層・視聴層の入り口を変える
- 冒頭5秒の設計:視聴維持率の冒頭離脱を下げる
- CTAの見直し:行動層につなげる導線の改善
- AI動画時代の検証サイクル:生成AIで動画の差し替え・量産が現実的になった今、検証サイクルをどう速く回すか
第3部は、本記事でつくった月次運用の上で「毎月見直すところを、どう具体的に変えるか」をテーマにします。サムネイル・概要文・字幕・CTAの磨き方と、AIを使った動画差し替えの進め方まで公開しました。
動画制作・動画マーケティングのご相談
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