サービス紹介動画の効果を最大化するためには、台本が重要な役割を果たします。動画の制作過程において、台本がしっかりと練られているか否かで、その動画の完成度や視聴者の反応は大きく変わります。今回は、サービス紹介動画を効果的に制作するための具体的なコツや方法について解説します。
サービス紹介動画はなぜ必要?
昨今SaaSやアプリのような無形の商材が増加しており、その機能も複雑化しています。そうしたサービスの理解を助けるために動画はますます重要なツールになってきています。サービス紹介動画の構成や内容は目的やシーンに応じて様々ですが1~2分の汎用的な動画はオンライン・オフラインに限らず活用シーンが多いため、非常に重宝されています。
また、サービス紹介動画は主に以下の2つのタイミングで制作・使用されます。
- サービスのローンチやリニューアル時などに媒体を通じてサービスを広めたい
- 展示会やオンライン営業等での新しい販路の拡大したい
どちらも動画も認知・理解の浅い視聴者が対象であり、その目的は限られた時間でサービスの理解を深めてもらい、さらにその後の詳細な話に興味を持ってもらうことです。
視聴者はどこまで動画を見てくれるのか?
スマービーでは「サービス紹介動画は理想を言えば1分以内」とお伝えしつつも、しかし実際の制作段階に入ると、概ねご依頼いただいた当初の予定よりも20~30%ほど長くなる傾向があり、スマービーが制作するサービス紹介動画で最も多いのは1分30秒~2分のレンジです。Vidyardの調査によれば1分動画の完全視聴は66%、2分動画の完全視聴率は59%、また2分動画の半分までの視聴は76%となっているので、視聴者のサービス理解に大きな差はないと考えています。
[vc_row][vc_column][vc_column_text css=""] よくある質問 筆頭の「動画の長さ」 動画を制作される方からよく相談されることの一つに「制作する動画の長さ」があります。身もふたもない言い方をすれば「短[…]
動画の構成:起承転結に基づく考え方
2分動画でも59%の視聴者が見てくれるとはいえ、2分間視聴者をその場にとどめるためには工夫が必要となります。どんなに良いサービスであっても「退屈」と判断されてしまえば、理解されることなく、他の選択肢に移動しかねません。視聴者をその場に引き留めるために大事なのは動画の構成です。サービス紹介動画を最大2分の構成で考えた場合、どのような流れになるのでしょうか。起承転結のフレームワークで考えてみます。
ストーリーの冒頭「起」
まず「起」となる部分ですが、動画では「つかみ」と呼ばれる部分になり、役割としては視聴者に対して「この動画を見る価値があることを伝え、視聴者の注目を引き、離脱を防ぐ」というのが役割になります。顧客の持つ課題やペインの提示、また「業界No.1ツール!」のような最もフックがかかる訴求を提示し、本論につなげます。米マイクロソフト社のカナダの研究チームが2015年に発表したMicrosoft attention spans, Spring 2015によれば、現代人の集中力は8秒とも言われており、できれば20秒以内、どんなに長くても30秒でまとめます。
本題へ導く「承」
ここでは「起」を受けて、主張したい本題につながる導入となります。ペインに対する共感や、サービスのキャッチコピー、またサービスのコアとなる機能など、サービスの概要を説明します。
最も言いたいこと「転」
いわゆる「本題」となる重要なパートです。このパートが全体の7~8割を占めます。2分動画を想定した場合、1分30秒程度がこの「転:本題」となります。サービスの具体的なメリットや使用例、課題を解消するための機能の説明やそれを補完する具体的な根拠など、視聴者に知ってほしい、理解してほしい内容がここに集約されます。
視聴者にお願いしたいこと「結」
動画は行動変容を促すツールです。「結」の部分には、顧客にやってほしい具体的アクションを提示します。動画視聴から直接、申込・契約という流れは技術的にも行動心理的にも難しいので、大抵の場合「詳しくはこちら」として検索ワードやQRコードを記載したり、「他にも多数の商品を取り揃えています」といったクロスセル・アップセルを誘導するものであったりします。シンプルなメッセージを5~10秒程度で伝えます。
本題である「訴求」をどう整理するか
サービス紹介動画の最大尺を2分と設定した場合、動画の本題のとなるサービスの説明は概ね1分30秒。日本語の文字数として400~500字程度です。この文字数の中で視聴者に刺さる訴求をしていく必要がありますが、台本に起こしてみると、非常に少ない量と感じるかもしれません。視聴者に効果的に伝えるために、以下のようなポイントに注意します。
訴求ポイントを絞り込む
よくパワーポイントなどのプレゼンテーション資料では「1スライド1メッセージ30~60秒」と言われますが、動画の場合にも当てはまります。概ね1分30秒の尺に収まるメッセージ、すなわち2分動画での訴求点は3個±1を基準に考えます。多くある訴求の中から、過去の顧客の反応、打ち出したい差別化ポイントなど、視聴者に伝わるものを厳選し優先順位をつけていきます。
購買フェーズとリテラシーを考慮する
専門家や実務担当者に向けてサービス紹介動画を制作する場合、必ずしも易しい言葉を使うことが正解とはならないケースもあります。視聴者が購買行動のフェーズのどの段階にいるのか、どの程度の業界知識を持っているのかを意識しつつ、適切な言葉遣いや説明を心がけます。
サービス紹介動画の制作事例
わかりやすい説明を行うためには具体的な事例が参考になります。以下はスマービーが手掛けた制作事例の一部です。
事例1:人事ソリューション動画
HR分野のオンライン展示会での利用を想定しています。テレワークでの課題をフックに開始10秒ほどでサービスの機能説明に入っています。機能説明は「課題→解決策」という流れを3つの訴求点でまとめています。
事例2:立体地図ソリューションの紹介動画
冒頭のフックでは、既存顧客の問合せ内容の上位3点をまとめています。視聴者にとってどれかが当てはまることが多いため「視聴者にとっての自分事」になりやすい展開になっています。
事例3:スケジュールアプリ紹介動画
この動画では制作尺の関係で「つかみを割愛する」ことでサービス紹介に20秒、メインとなる訴求ポイントに30秒の尺を振り分けています。30秒の訴求の中で、顧客の課題→解決策の提示を行うことで、納得性を高めています。
まとめ
サービス紹介動画では台本をまとめた上で、それを説明するためのグラフィックや素材を当てはめるという作り方になってきます。サービス紹介動画によるサービスの理解度は台本で決まるといっても過言ではありません。仮に動画が無音状況で見るようなシチュエーションであっても、最初に台本をしっかりまとめ、頭に入りやすい進行・構成を目指す必要があります。制作会社としっかり話し合い、納得のいく台本を作り上げることが、効果的なサービス紹介動画の第一歩です。
- 動画の長さは2分以内が理想的で、完全視聴率は60%程度を目標にする
- 最初の20秒以内に視聴価値を明確に提示し、視聴者の注意を引く
- 本題部分ではサービスの要点を3~5つに絞り伝える
- 最後に視聴者に促したいアクションをシンプルに明示する
今回は「起承転結」のフレームワークをベースにまとめましたが、様々な論理展開手法でシナリオをまとめていくことも可能です。是非参考にしてみてください。
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