【どこまで尺は伸ばせます?】結局、ビジネス動画の長さはどれくらいがいいのか?

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よくある質問 筆頭の「動画の長さ」

動画を制作される方からよく相談されることの一つに「制作する動画の長さ」があります。身もふたもない言い方をすれば「短ければ短いほど良い」というのが結論になりますが、この質問の真意は「どこまでの尺であれば許容できるのか」というところにあるかと思います。

見せる相手がどのような人でどのような内容を求めているか、またどういった形式の動画をどういったシチュエーションで視聴するのかなど、色々な要因により最適な長さが変わってきますし、至極当然なことながら、このような前提を考慮して動画の長さを考えることは、全ての動画制作において非常に重要なことです。

今回は2013年のレポートと2023年のレポートを比較しながら「動画の尺はどこまでなら見てもらえるか」というところについて迫っていきたいと思います。なお、この記事で考察する動画は、お金を払ってでも見る人がわんさかいるようなコンテンツではなく、企業が売り込みたい商品やサービスのオンライン動画を視聴者へ届けるという前提でデータを見ていければと思います。

今回は、企業が売り込みたい商品やサービスのオンライン動画を視聴者へ届けるという前提で実際のデータを見ていきたいと思います。海外では様々なデータが公開されていますので、掻い摘んでいくつかご紹介させていただきます。


企業の投稿動画の動画尺分布

データ1:Vidyardに2023年に投稿された動画の長さの分布

(出典:Vidyard 2023/7/14)

法人向けの動画マーケティングプラットフォームであるVidyardによれば、2023年に投稿された動画のうち、約60%が2分以内のものであり、全体の平均は15分程度だったとレポートされています。
用途によって、動画尺は大きく変わってきますので、この平均の解釈は難しいですが、60%が2分以内であり、4分以内に80%が占めていることを考えれば、企業が投稿する動画尺の目安として「2分」というのを一つの目安にしていると考えても差し支えないかと思います。

動画の視聴時間と離脱率

データ2:動画の視聴時間と離脱率

Visible MEASURESの調査(離脱率のグラフ)

(出典:Visible MEASURES 2010/9/29)

5分未満の映像に絞り4000万以上の動画を元にVisible MEASURESが調査した結果では、上記のグラフの通り、最初の10秒以内で視聴者の20%、30秒で33%、60秒で44%、90秒ともなると半分以上が離脱するという結果が出ています。

短い動画を作ることが良いということではありません。YouTubeもクリエイターハンドブック第1版で「冒頭の15秒を大事にしなさい!」と言っていましたが、さらに米マイクロソフト社のカナダの研究チームが2015年に発表したMicrosoft attention spans, Spring 2015によれば、「現代人の集中力は8秒であり2000年には12秒程度だった人間の集中の持続時間が、2013年の調査では8秒」と短縮されつつあると報告されているます。

すなわち、視聴開始直後の時間帯は動画広告において非常に重要なポイントであり、動画の尺に関わらず、序盤で重要なメッセージを伝え離脱を減らし、視聴率を維持する工夫が必要になります。

データ3:1分動画の視聴推移

1分強のセールスビデオの離脱率のグラフ

(出典:Vidyard 2013/12/4)

上の図は、Vidyardのとあるセールス動画(動画尺:1分6秒)の離脱率を示していますが、7秒経過時点で約20%が離脱しており、最後まで見た視聴者は65%程度になっています。
1分程度の短い動画クリップであっても、開始直後の離脱は大きく、やはり序盤で興味を引きつけるような演出や仕掛けが重要であることが分かります。

また、2023年にはより大規模なデータが提供されています。

データ4:動画の長さ別の平均視聴者維持率

(出典:Vidyard 2023/7/14)

  • 1分未満の動画:視聴者の 66% が完全視聴
  • 1~2分の動画:視聴者の76%が半分まで視聴し、59%が完全視聴
  • 2~10分の動画:50%が完全視聴
  • 10~20分の動画:39%が完全視聴
  • 20分超の動画:22%が完全視聴

2013年、2023年のどちらのデータからも言えることは2分以内の動画の完全視聴は60%弱ということができ、一つの尺の指標として「2分」という数値は目安にすることができそうです。


そもそも、人間の集中力の限界は?

集中力の持続時間には諸説ありますが、一般的には90分が限界と言われています(勿論、その人のコンディションや能力、環境などによっても大きく左右されます)。
更にその中で波が15分周期で訪れるといわれており、これが1つの大きな壁になります。

ちなみに、野球の試合は約3時間、サッカーの試合や映画は約2時間、大学の授業の1コマは90分、小学校の授業の1コマは45分といったところです。
小さい子はまだ未発達な部分があり、集中の波に乗りにくいため、短めに設定されているとのことです。
こういった視点で色々な時間を眺めてみると、色々な発見があるのではないでしょうか。

ハウツーや研修ビデオ・学習コンテンツなど、長い動画を制作する必要がある場合には、こういった時間の単位を意識してしてみると良いかもしれません。


まとめ

 企業のオンライン動画は1~2分が理想。冒頭の10秒で20%が離脱。最初の10秒が肝心。

実際の弊社の制作経験に基づいても、BtoB向けの動画の大部分は2分以内に収まっています。また、冒頭の10~30秒の掴みで動画全体の視聴価値を提供する必要があると案内しており、その経験則を裏付ける結果になっています。

とはいえ、動画で重要視すべきは尺よりも、視聴率を維持するための動画の設計が大事であると考えており、冒頭に書いたように、最適な動画の長さというものはターゲット・クリエイティブ・達成したい目的などによって大きく変化してくるため唯一無二な答えは存在しません。

誰かに吹き込まれた根拠のない先入観は捨てて、良い動画を研究し続けることと、様々なシチュエーションでA/Bテストなどトライアンドエラーを繰り返すことが、最適な解を導く成功への近道です。

参考:

https://www.vidyard.com/blog/video-marketing-to-capture-attention-faster/

https://www.visiblemeasures.com/2010/09/29/benchmarking-viewer-abandonment-in-online-video/

https://www.vidyard.com/business-video-benchmarks/?sfc=7014O000001qI7FQAU


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