近年の動画体験の急速な発展と歩みを合わせて、動画のフォーマットも更に進化していくと考えられます。
現在は、H264コーデックが広く使われています。高い圧縮効率に加え、H264の唯一のパテントプールであるMPEG LAが「ユーザが無料視聴できるネット配信動画」に対してのライセンス料を免除したり、Cisco社がOpenH264 バイナリの利用によるライセンス料の肩代わりを発表したことも普及に寄与していると考えられます。
一方、昨今の4K放送や8K放送では、2013年に国際標準化されたH.265/HEVCフォーマットが使用されています。2018年の3月にHEVC Advanceが、H265/HEVCを利用した非物理的な動画配信において(ストリーミングや放送など。物理メディアにおいてはそのまま適用される。)ライセンス料を廃止するという発表をしていますが、HEVC Advanceの他にもMPEG LAをはじめとした複数のパテントプールや企業が存在するため、ライセンス料の支払いは免れず、ライセンス問題は根本解決に至っていません。これは、ビジネスで活用するうえでの大きな足かせといえます。
それに対して2018年3月にAlliance for Open MediaがAV1というロイヤリティフリーをフォーマットを公開し、グローバルでの普及を目指しています。ストリーミングテクノロジーを提供するBitmovinの調査によると、HEVC比で30~43%ほどビットレートを削減できるという報告も出ており、今後の動向に注目が集まっています。
動画配信ビジネス行う多くの事業者側が課題にしているのが通信量です。新たな圧縮技術がこの問題を解決する糸口になれば、各社の動画を使った取り組みやユーザー体験もより良いものになっていくのではないでしょうか。