前回のおさらい
前回は、内製で動画制作をするときに起きやすい5つの失敗のうちの3つと3つの失敗を引き起こす8つの原因について説明しました。今回は「制作担当にしかわからない目に見えにくい2つの失敗」について、説明します。
あるある失敗4 実はリスク満載
「著作権」や「肖像権」といったビジネスでは当たり前の概念が抜け落ちて、制作されている事例はよく見かけます。制作した個人だけなく、動画制作を指示した上司や部署、会社全体のリスクに直結することになりかねません。「あのCM、あの番組を真似してみよう」 「会社の資料だから大丈夫」。内製で作った動画、権利関係をおろそかにしていませんか?
またビジネス用途での動画制作では第三者の権利関係リスクだけなく、自社のノウハウや技術、顧客情報の漏洩など、機密情報に関するリスクも十分な理解が必要です。
原因9:音楽に頼り過ぎ
個人が趣味で作った動画で、私的に楽曲や有名人の写真を使っているケースというのは散見されます。特に楽曲については、動画全体の雰囲気づくりにおいては強力なツールになりえます。しかしながらビジネス用途や商用の場合には、「個人の責任の範囲で使う」ということを言えないばかりか、適切な権利処理を行っていない動画を権利者が見ることになれば、会社全体に大きなリスクを及ぼしかねません。多くの場合、適切な手続きと適切な費用を事前に払うだけでこのリスクを払しょくできるケースがほとんどですが、やはり初めて内製で動画を制作する、といった場合には「適切な手続きがなんなのか」すらわからないケースが多くあると思います。
インターネット上では「著作権フリー」や「商用利用可」といった素材が多数あります(ただし、フリーとあっても「無料」であるとは限らない点は十分注意してください)。動画に音楽をつけたいという場合には、リスクの観点からも、このような「著作権フリー楽曲」の選択を考えてみてください。
原因10:機密情報を見せ過ぎ
権利的には問題はなくても「見せていい情報であるかどうか」は別問題です。特にビジネス用途の場合、会社の方針や数値資料、その会社や部署が持つ専門的なノウハウなど、様々な「機密情報」があります。「資料として使っていないから大丈夫」「撮影許可はもらっているから大丈夫」と思っていても、撮影中のパソコンの画面に個人情報が入っていたり、インタビューの背景に数値目標等が書かれたホワイトボードが映っていたりと、「ビジネス用途特有の情報管理」が必要になる場合が多くあります。是非、適宜素材を確認してもらえるような環境づくりを心掛けてください。
あるある失敗5 手間がかかる
「少しでも良いものを」という考え方はビジネスにおいては非常に重要です。しかし完成までに時間のかかる動画制作においては、時間がかかりすぎて機会損失を生んだり、余計な仕事が増えてしまったり、頑張るほどに制作者の評価が下がったり、といった結果を招きかねません。出演者の手配・やり取り、撮影のための手続き、音源探しや資料探しなど、最終的な成果物に反映されづらい業務が多いのが動画制作の特徴です。直接的な費用だけで判断をしていませんか?
原因11:撮影素材が多過ぎ
「編集のときに素材に困らないように多めに撮影」「保険のためのもうワンテイク」。編集段階で素材が足りない、という事態を防ぐことは大事ですが、度が過ぎると「編集に困る」という課題も生まれてきます。「沢山撮影しておく」という弊害は様々なところで影響します。出演者の時間拘束、撮影素材の確認と選択、素材を保存するための記憶媒体の容量、編集ソフトでの読み出し書き出しの時間の増大…。撮影後の工程だけでも多く影響が出てきます。
多くの場合、撮影前に「必要なシーン」「シーンごとの尺」を洗い出しておくだけで、撮影後の編集業務などの手間や労力を大きく軽減することができます。前回の「動画が長すぎてしまう原因 遠回りしすぎ」でも書きましたが、制作前段階での構成決めを行ったうえで、撮影前の段階でぜひ「必要シーンと尺の洗い出し」を行ってみてください。
原因12:間接業務が多過ぎ
出演者の手配や撮影場所の手配、完成映像の確認や修正、再編集などの要望、視聴者からの問合せ対応など、動画制作は制作時にかかる業務だけでなく「動画制作前」と「動画制作後」の業務が多くあります。これら、制作前後の業務が見えていない場合、動画の制作担当者自身が、後から大変な思いをするという話をよく聞きます。
動画制作は「作るときの手間」に重点が置かれがちですが、是非「動画制作前後」の業務への影響を軽視せずに洗い出してみてください。
内製で動画制作するうえで事前に考えること
情報伝達ツールとして非常に有効な「動画」。ビジネス用途の場合には、情報伝達の効率や関節費用も含めての費用対効果など、個人で作る動画とは違った課題があります。
動画制作には「成果物」としてのテクニックだけなく、「制作過程」のノウハウが必要となってきます。動画を社内で作ることを考える際に、次の視点で考えてみてください。
本当に動画でなくてはだめなのか?
「文章、図説(パワーポイント)でできない事だけを動画にする。」というのも重要な選択肢です。伝える情報が多い動画ほど、難易度も手間も上がります。動画でなければダメな理由は何なのか、もう一度考えてみてください。
誰に向けて何を伝える動画なのか?
視聴者の想定を見誤ると、動画による情報伝達効果は大きく損なわれます。誰に見てもらう動画なのか、何を伝える動画なのか、もう一度考えてみてください。
内製制作でかけるべき時間と費用
キャッシュアウトが発生する費用だけでなく、動画を制作するために必要な期間、制作に携わっている間にやるべき他の業務、出演者にかかる手間など、総合的に判断していますか?動画制作自体だけでなく、ビジネス全体の視点でもう一度考えてみてください。
それでも社内内製で動画制作をしたいと思ったら
まずは、短い尺の動画制作から始めてみる、というのはいかがでしょうか。「どんな準備が必要なのか」 「制作にどれくらい時間が掛かるのか」 「動画を見て使ってもらえるのか」など、新たな発見があると思います。
短い動画制作から始めてみようという方にはCaneo(キャネオ)はいかがでしょうか?
このアプリは30秒/60秒の動画の制作に特化したビジネス向けの動画制作にアプリです。是非ご活用ください。
プロに頼むという選択肢も考えてみたいなら
プロに頼むメリットは、手間の軽減や品質の向上といったものだけではありません。
視聴者視点での提案や、リスクへの予防や対策など、失敗を未然に防ぐというメリットも忘れてはなりません。
依頼や発注することを前提にするのではなく「まずは相談だけしてみる」というだけでも新たな発見があるかと思います。
Smarvee(スマービー)では、「豊富な経験」と「新たなテクノロジーのトレンド」を融合し、動画制作だけでなく、動画活用・転用など、動画に関わるあらゆるソリューションを提供しています。
まとめ
ハンディカム、PC、スマホ、様々な動画制作ソフトやアプリなどにより、動画制作で「プロと素人」は一見垣根がなくなってきているように見えます。しかしながら、ビジネス用途で動画を作る場合には「完成物のクリエイティブの差」だけでなく、「見えづらいリスクの回避」や「失敗を未然に防ぐ」といったノウハウが必要になってきます。
動画の制作会社ではこのような「見えづらいリスクの回避」や「失敗を未然に防ぐ」という発想のもと、様々なノウハウを蓄積しています。
「たかが動画、されど動画」。
動画を効果的に、そして最大限に使うために、制作の方法から検討してみてください。