イベントは企業がメッセージを伝え、ブランドを強化するための重要な機会です。その効果を最大化するために、動画の活用は欠かせません。特にオープニング動画やエンディング動画、いわゆる「アタック動画」は、参加者の気持ちを変えたり高めたりする演出ツールとして非常に効果的です。本記事では、アタック動画の作り方や動画制作のポイント、ブランディング視点での注意点について詳しく解説します。
アタック動画に何を期待するか
イベント用に動画を制作するという手間をかける以上、動画には一定の効果が求められます。動画に求める効果とは何なのでしょうか。それは「イベントの目的達成のサポートをする」ということに他なりません。イベントは何かの目的を達成するために実施され、参加者が集められます。イベント用動画制作の効果を最大化するためには、動画制作の過程でイベントの開催目的を明確にし、その達成をサポートするということを大事にする必要があります。
参加者 | イベント例 | 目的 |
社内向け | 周年イベントやキックオフ | インナーブランディング、モチベーション向上 |
レクリエーションや交流行事 | 相互理解促進、モチベーション向上、インナーブランディング | |
コンテストや表彰 | モチベーション向上、インナーブランディング | |
社外向け | 新製品やサービスのPR | サービス認知拡大、ブランディング向上 |
展示会やセミナー | サービス認知拡大、ブランディング向上 | |
株主総会 | 相互理解促進、ブランディング向上 |
様々な目的はあれど、企業が主催するイベントの大半は何らかのブランディングに繋がっています。ブランディングで大事なのは「他社とは違う独自の存在感」と「その価値に共感・信頼してもらう」ということです。
ビジネス動画は5W1Hでその目的を整理することができます。
その中でアタック動画の役割は、イベント参加者(Who)にイベント自体や企業のブランド(What)を理解・共感してもらう(How)サポートツールであると言えるのです。
When:いつ | ティザー(予告)、オープニング、場面転換(幕間)、エンディング |
Where:どこで | イベント会場 |
Who:だれが、だれに | イベント参加者 |
What:何を | 企業・イベントのブランド |
Why:なぜ | インナーブランディング、モチベーション向上、ブランディング向上 |
How:どのように | 動画による、ブランドへの理解/共感、当事者意識/参加意識の醸成 |
ビジネス動画シナリオ・台本の作り方動画制作の台本・シナリオ作りはプレゼンの原稿制作にとても良く似ています。とはいえ、プレ…
大事なのは「参加者が自分事であると認識する」こと
アタック動画でイベント参加者にイベントの理解・ブランドの理解をしてもらうために重要なポイントは、なにより参加者に「自分事である」と認識させることです。アタック動画ではWhatの部分である、企業・イベントの独自の存在感(≒ブランド)を可視化し、Howの部分で、動画ならではの手法を使って理解共感してもらうという作り方をします。
What:イベント/企業の独自の存在感を表現する
企業が大事にしていることを表現する
企業/イベントの価値観や理念を具体的な言葉やビジュアルにして表現します。アタック動画では、冗長なストーリーや文章は伝わりきらない可能性があります。参加者のリテラシーにあわせて、より簡潔なキーワード・理解しやすいキーワードにしながら、短い時間でイベント参加者に印象付ける工夫が必要になります。また、ブランドは「積み重ねられた歴史」それ自体が説得力や信頼性に繋がります。企業やイベントがそのブランドの構築するまでの歴史を垣間見れる流れも、イベント参加者に対する理解の促進につながります。
イベントの主旨と企業の理念をシンクロさせる
一貫したアイデンティティがブランドの信頼性を高めるので、イベントのテーマとメッセージが企業の理念と一致するような見せ方も必要になってきます。企業の活動の中にイベントがあるのであり、企業の活動とイベントが別のものであるととらえられないようにする必要があります。
ビジュアルアイデンティティを統一する
テーマメッセージの一貫性だけでなく、ブランドカラーやロゴなどにより視覚的な一貫性も重要になってきます。アタック動画は短い時間の中でブランドを伝え、理解・共感のサポートをするツールなので視覚的に統一することで、企業の理念とイベントのメッセージが統一されていると印象付ける一助になります。
How:共感/信頼感を得る
参加者が共感しやすいキーワードを使う
ターゲットオーディエンスの特性や関心事を理解し、それに合わせたキーワードやフレーズを使用します。必ずしも判りやすい言葉であるとは限りません。参加者のリテラシーに合わせたワーディングを行い、専門的な用語を適切に使用しながら、参加者にとって「自分に向けたメッセージである」と捉えてもらうことが大事になります。
参加者が深く知っている情報を散りばめる
参加者がすでに知っている情報や経験に基づいた内容を盛り込みます。これは、視聴者に親近感を持ってもらうこと、信頼感を持ってもらうことに繋がります。
社外向けであれば、具体的なデータや事例を使用し、視聴者に「自分も同じような経験をしている」と感じさせることであったり、視聴者が常日頃感じているような課題感を顕在化させるようなキーワードを提示するといった方法があります。社内向けであれば、イベント参加者であれば知っているような象徴的なアイテムやシーンなどを使うことで、より「自分事」につなげることが可能になります。
自分が動画に出演している
アタック動画で「自分事として認識させる」ために最も強い演出は、自分自身が動画に出演していることです。参加者自身が動画に出演することで、強いエンゲージメントを生み出します。特に社内イベントでは、社員一人ひとりが登場することで、団結力が高まります。動画制作の一環として、参加者からのメッセージやフィードバックを収集し、それを動画に組み込んだり、参加者自身でなくても、よく知っている同僚や先輩などが動画に出演するだけでもエンゲージメントは高まります。
アタック動画をいつどうやって使うのか
アタック動画は「参加者の気持ちを変えたり・高めたりする演出ツール」であり、動画の構成と使いどころによって、その効果も大きく変わってきます。
ティザー(予告)
ティザー動画はイベントの募集や集客段階や集客完了後にイベントの期待感を高めるため、オンラインツール等で用いられます。イベントの参加意義を理解させ、興味を引き起こすための重要な手段です。効果的なティザー動画を制作するためのポイントは以下の通りです。
- 短く強烈なメッセージ: 短時間で視聴者の関心を引くために、キャッチーなフレーズやインパクトのあるビジュアルを使う
- 謎を残す: 全てを見せるのではなく、あえて謎を残すことで、視聴者の興味を引く
- ターゲットを明確に: 冒頭に「〇〇なあなたへ」等のテキストを出すなど、誰に向けたメッセージなのかを明確にする。
オープニング
オープニング動画はイベントの幕開けを盛り上げ、参加者の期待感を高めます。効果的なオープニング動画を制作するためのポイントは以下の通りです。
- イベントの主旨を強調: イベントのテーマや目的を明確にし、参加者に期待感を持たせます。
- 視覚的インパクト: 鮮やかな映像やダイナミックなアニメーションを使用することで、イベント開始前との緩急を視覚的に演出します。会場の照明などとの連動も有効です。
- 聴覚的インパクト: キャッチ―な音楽やナレーションを使うことで、耳からの情報による没入感を演出します。
場面転換(幕間)
幕間動画は、イベントの合間にリフレッシュしつつも、次への期待を持たせるためのツールです。効果的な幕間動画を制作するためのポイントは以下の通りです。
- テンポの良さ: 短くてテンポの良い動画を使用することで、参加者の興味を引き続けます。
- 次のセッションの予告: 次に何が起こるのかを簡単に示すことで、参加者の期待感を高めます。
エンディング
エンディング動画はイベントの総括を行い、参加者にポジティブな印象を残すことで、イベントの満足感を向上させたり、次回のイベントへの期待感を与えるなどの効果があります。効果的なエンディング動画を制作するためのポイントは以下の通りです。
- 感謝のメッセージ: 参加者や協力者への感謝の意を伝え、イベントを支えてくれたすべての人々に対する感謝を示します。
- 次回への期待感: 次回のイベントへの期待感を持たせるようなメッセージを加えます。
- 総括と呼びかけ: イベントの成果や要点を簡潔にまとめ、参加者に行動を促す呼びかけを行います。
アタック動画の制作事例
アタック動画構成における基本的な考え方と実際の利用シーンに応じたテクニックを盛り込んだ制作事例です。
事例1:ティザー動画1
周年イベント向けのティザー兼オープニング動画です。職場で働く社員の動画とインタビューのキーメッセージを見せることで「自分が動画に出演している」という強い当事者意識を与えています。
事例2:ティザー動画2
研修会向けのティザー動画です。興味を引き立たせるため変化球的な構成になっています。コンテンツに対する「謎」、研修効果がわかるような該当インタビューによる「ターゲットの明確化」など、ティザー動画のテクニックを活用しています。
事例3:オープニング動画
社内向け/社外向けどちらにも使われたオープニングアタック動画です。世界中で撮影された素材を用いることでグローバル企業としてのブランディング、過去の映像を活用することで企業が持つブランドとしての積み上げられた歴史を表現しています。
事例4:エンディング動画
社内向け/社外向けどちらにも使われたオープニングアタック動画です。世界中で撮影された素材を用いることでグローバル企業としてのブランディング、過去の映像を活用することで企業が持つブランドとしての積み上げられた歴史を表現しています。