【2024年8月版】ショート動画活用事例【建築・建設業界】

LINEで送る
Pocket

高齢化が顕著に進んでいる建設業界では、「時間外労働の上限規制」いわゆる2024年問題だけでなく、団塊世代が後期高齢者となり熟練工が大量に引退する2025年問題と呼ばれる労働者不足がいよいよ本格的になってきています。熟練の建設労働者が減ってきてる一方で、建設需要は衰えておらず若手人材の取り合いはますます進んでいくと考えられています。今回は「建設業」にフォーカスを当ててSNSでの採用活動を進めている企業の事例をご紹介します。

若手の人材不足をカバーする施策「SNS採用」とは?

若手の人材不足をカバーする施策として注目を浴びているのが「SNS経由での採用活動」です。

従来型の就職・転職ポータルサイトでは求職のための登録作業や応募企業の下調べなどが発生するため、タイムパフォーマンスを大事にするZ世代には敷居が高いと思われてしまうこともあります。求職者がPC操作や文書制作を得意としていない場合には応募までの敷居が非常に高くなってしまうことがあります。

一方でSNSでは企業と求職者がダイレクトにコミュニケーションを取ることができるため、文書制作などがあまり得意でなくても人柄ややる気を会話のやり取りで伝えることができます。またSNS上に掲載されているコンテンツにより会社の雰囲気を事前に知ることができたり、コメントのやり取りをみることで受け答えに対する距離感などを事前につかむことができます。

生まれたころからインターネットが当たり前であったデジタルネイティブでもあるZ世代の求職者にとってはSNSでダイレクトにやり取りするのは当たり前の行為であり、従来型の就職・転職ポータルサイト経由でのやりとりよりも敷居が低いのもポイントです。

そのような理由から、体を動かすことが好きであったり、人とのコミュニケーションが好きであったり、成長や学びに貪欲であったり、履歴書だけでは表現できない人間性やキャラクターなどを大事にする建設業界にとって、SNS採用はうってつけのツールなのです。

建設業界のSNS活用は始まったばかり

建設業界が3K(キツイ・汚い・危険)と言われていたのは過去の話。高い建設需要と圧倒的な若手人材不足という背景から、近年最も「働きやすさ」に力を入れている業界ではないでしょうか。それは、福利厚生や待遇、年間休日数などといったわかりやすい「働きやすさ」だけでなく、職場の雰囲気や休日の取りやすさやなど目には見えづらい「企業風土」といったものにも力を入れている業界です。

今回は、働きやすさや業界の魅力をしっかり表現している建設業界のSNS活用事例をご紹介します。

株式会社レナトゥス

神奈川県にある電気設備工事の会社です。「建設社長のあやか」という個人アカウント的な見せ方でアカウントを運営されています。社長の明るいキャラクターを存分に活用し、待遇などをぶっちゃける動画、マニアックな業界ネタなど多様な動画を投稿しています。直近投稿された「こんな子採用する?」は、今後大喜利のようなコメント欄が展開されそうな雰囲気を持っており、SNSコミュニケーションの好事例になりそうです。

株式会社ハマテック

大阪にある建築現場の足場などの設営やレンタルを行っている会社です。こちらも「うちの社長が先生すぎる/はまなか社長」という企業アカウントっぽくない仕立てですが、様々なシチュエーションから「社長のキャラクターを引き出しつつ企業の魅力を伝える」というアプローチで構成された動画で構成されています。「退職届を出してみたドッキリ」は真摯に心配し次の就職先まで一緒に考えようとしてくれる社長の一面を引き出してみたり、そのまま退職届を笑顔で受け取って出演するスタッフが慌てる社員をいじるなど、社長と社員の適度な距離感がわかるコンテンツになっています。それ以外にも、社長の人柄、職場の雰囲気や働きやすさが存分に伝わるコンテンツが沢山あります。

株式会社翔星建設

奈良県にある土木工事の会社です。ズバリTiktokから入社した社員へのインタビューコンテンツが直近インプレッションを増やしています。入社された方のインタビューから見えるのはTiktokの社員出演動画を見ることで感じた会社の雰囲気や働きやすさが応募にあたっての重要なポイントであったということです。仲間と一緒に何かを作る仕事では特に「この人と一緒に働きたい!」と感じることがとても大事だと気づかせてくれる、学びが大きい動画です。

株式会社TAKUMI

兵庫県尼崎市の左官業の会社さんです。急な坂道で丸いわっかのような模様を作る工程を映した動画は2024年7月時点で2000万再生されています。おそらく専門家から見れば当たり前の作業なのかもしれませんが、一般人から見れば「知らなかった」「神業!」だったりすることも多くあります。「自社の技術力って何だろう」と考えてみたとき、会社の中では当たり前のことも外から見たら物凄いこと、という視点を思い出させてくれる動画です。

@ta_kum お疲れ様です!スロープのワッカを施工してきました!早上がりでやりやすくて最高ですね👍もう少しで気温も上がるので現場仕事の方々頑張っていきましょう!!!#土間屋 #左官屋 #真空#コンクリート#コンクリート#従業員募集中 #未経験ok #現場仕事 ♬ XOXO (GAL version) – LOALO MODELS

SNSショート動画でZ世代の採用を進めるには

今回の事例調査で感じたのは、建設業界がZ世代に向けたコミュニケーションを加速化させていて、また令和の時代にあった働き方を真摯に模索しているということです。

3K(キツイ・汚い・危険)というイメージを払拭するだけでなく、会社全体で楽しく働いていることを感じさせる動画が沢山見られました。

「今更SNSで動画を始めても、他社の真似になってしまうのでは?」という不安はあるかもしれません。ですが、似たようなネタであっても、働いている人・企業風土によりその見せ方や答えは変わってきます。独自性を出しにくい業界の中でも、人や取り組みなどにフォーカスすることで、組織の魅力を伝えることに成功している事例だと思います。