【人事・採用担当/インタビュイー必見!】カッコよく見える動画インタビューのための準備

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会社案内や採用・リクルート動画で非常に重要なパートともいえるインタビューシーン。動画におけるインタビューの難しさを含めて、今回は動画制作でのインタビューシーンの撮影についてご紹介します。

動画インタビューは何を伝えるものなのか。

そもそもなぜ動画インタビューを撮影するのでしょうか。仕事の内容ややりがい、働きやすさといった情報を伝えたい、自社で働くイメージを持って欲しいなど制作の目的はいろいろです。しかし、写真と記事によるテキストメディアでも情報を伝えることは可能です。

それでも動画インタビューを撮影する理由は、動画インタビューでしか伝えられない情報があるからということに他なりません。

動画は言語化できない情報を伝えるメディア

会社・組織の雰囲気、働く人の表情など、言語化できない情報を伝えられるのは動画だけです。

そして動画インタビューには他のメディアにない特徴がもう一つあります。それは編集がしにくいメディアであるということです。テキストメディアでは取材インタビュー後に、言い間違えの修正だけでなくより伝わりやすい言い回しへの変更が行われるケースがあります(もちろん許可を得た上でですが)。編集が可能であることは読者も知っているため、読者は話し手(インタビュイー)の言葉をそのまま受け取らない可能性があります。

一方で動画インタビューでは、言い間違いの修正や言い回しの変更を編集で実施するのは容易ではありません。リテイクと呼ばれるインタビューの撮り直しでも、緊張感や声のトーンなどが変わるため、継接ぎは容易ではありません。

編集がしにくいということは情報がありのまま伝わる情報量が多いと言うこともでき、動画インタビューは視聴者への「信頼感」に繋がります。動画インタビューは話し手(インタビュイー)を通して会社のありのままの姿を伝えることができるツールなのです。

制作目的やターゲット(視聴者)を整理する

編集の余地が少ないが故に、会社のありのままの姿が伝わるツールである動画インタビュー。どのような準備をすればよいのでしょうか。

一般的に目的やターゲットなどを整理することが大事と言われています。

何故そういわれるのでしょうか。採用動画向けインタビューをイメージし、目的やターゲット設定とインタビュー動画構成の関係を具体例で作って見ました。

目的1:応募数UP目的2:ミスマッチ低減
ターゲット1:新卒・仕事内容/業務内容 ・1日1週間のスケジュール・キャリアアッププラン
ターゲット2:30代即戦力・仕事の規模や役割 ・次のキャリアステージ・中途採用者視点の職場環境

見ていただいてわかる通り、目的やターゲットによってインタビューの内容だけでなく、どういった人を話し手(インタビュイー)に置くかも変わります。そして同じくらい重要なのは「視聴者にどう感じてもらいたいか」を考えることだと考えています。

持ってもらいたい印象話し手から感じてもらうこと
話し手から感じてもらうことこの人みたく成長できそう
成長できる環境があるこの人のいる部署は楽しそう
この人みたく成長できそう仕事への関わり方を真似たい
人間関係が良好この人の言葉に嘘はなさそう

説明した通り、話し手(インタビュイー)を通して会社のありのままの姿が伝わってしまうのが動画インタビューです。動画の制作目的も大事なのですが、インタビュー動画をイメージしたとき、視聴者が持ってもらいたい印象を考えることが大事になってくるのです。視聴者にもってもらいたい印象を言語化することで、インタビュー動画の内容・人選・撮影場所選びがスムーズになってきます。

取りたいコメントを考える

視聴者にどんな印象を持ってもらいたいを言語化したら、具体的な内容や話し手(インタビュイー)の準備に入ります。視聴者の感じ方を逆算していくことで、話し手(インタビュイー)から「こんなコメントが取れたらいいな」というものが少しずつ見えてくるかと思います。平行してこれらのコメントを取れそうな部署やプロジェクトにアプローチし、話し手の手配を進めます。

会社に持ってもらいたい印象話し手から感じてもらうこと取るべきコメント
成長できる環境があるこの人みたく成長できそう仕事を通じてできるようになった、〇〇と考えられるようになったエピソード
人間関係が良好この人のいる部署は楽しそうだ先輩からのフィードバックやコミュニケーションのエピソード
取組や理念への共感仕事への関わり方を真似たいプロジェクトや仕事への参加のエピソード、実際やってみての感想
信頼できる会社この人の言葉に嘘はなさそう自分なりの解釈や言葉で語ってもらう

話し手(インタビュイー)の人選

ある程度「取りたいコメント」のイメージができたら、それをうまく伝えられそうなインタビュイーを人選していきます。その際には、事前のヒアリングなどで、会社として表現したい方向性に沿うのかどうかはある程度確認しておくとよいでしょう。最終的な人選にあたっては、以下の点を考慮するとよいです。

自分の言葉で話せる人

会社から言わされた感や実感の伴わない言葉は、記事インタビューではごまかせても、動画というメディアでは見抜かれてしまいます。自分の言葉で語れる人であることは必須です。

結論から話せる人、話が簡潔な人

動画インタビューはテンポが大事です。1つのトピックへの回答は長くて1分。できれば30秒以内で収めることで、視聴者もテンポよく話を聞くことができます。質問に対して結論から話せる人、手短に話すことができる人がいると望ましいです。

表情が豊かな人

インタビュイーの表情や話し方は、視聴者の共感を得る上で重要な要素です。話す内容と表情がマッチしていることで、視聴者の共感は得やすくなります。必ずしも、というわけではありませんが、表情豊かに話す人を選ぶとインタビューの効果は高まります。

設問を準備する

言ってもらいたいコメントの内容や人選が決まってきたら、答えを導きやすくする設問を設定します。
仕事を通じてできるようになった、〇〇と考えられるようになったエピソードでの具体例を挙げてみます。設問はいくつかの段階に踏んで設定します。

  1. 仕事を通じて変わったと思うことを教えてください
  2. どうして変えようと思ったのですか
  3. それはどんなときに感じましたか
  4. 今後、どのように活かしていきたいですか。

1つ目の質問だけでは、心情や考え方まで回答してくれるとは限りません。しかし、このように3~4段階にわたり深堀する設問を設定していくことで、インタビュー個人のパーソナリティやその人だけしか答えられないエピソードなどに踏み込みやすくなっていきます。

ある程度設問が設計できたら、事前にインタビュイーに対してアンケートという形で書面で回答してもらうとよいです。その際には、主となる設問だけでなく、自己紹介や部署・仕事上の役割なども書面で整理してもらうようにすることで、インタビュー時に話し手が話しやすくなります。

日時と場所を決める

カッコいい動画インタビューに欠かせないのは撮影場所です。撮影場所の選び方としては、以下の基準を考慮するとよいです。

静かで落ち着ける場所

インタビューの音声をクリアに収録するためには、静かで人払いがしやすい環境が望ましいです。区切られた会議室などはインタビュースペースとして定番です。静かな環境は 話し手の集中力・緊張などにも影響します。

明るい場所

表情を明るく見せたり、ポジティブに見せるには、出来る限り明るい環境で撮影するほうが望ましいです。もちろん、制作会社に照明を準備してもらうことも可能ですが、場所としてのベースの明るさが明るいほうがよいです。

会社やエピソードの魅力を伝えやすい場所

会社や組織の魅力を伝えるために、社員食堂やオープンスペースなどを撮影場所に選ぶのもひとつの選択肢です。ただその際には、撮影収録に支障をきたさない程度に、人払いや音の問題を解決することが前提となります。

日程については、話し手の業務上の都合はもちろんですが、自然採光を活用したい場合には、日中の明るい時間を活用したり、逆に夜景をバックにするといった手法もあります。インタビュー単体では事前準備を含め1時間~2時間程度を見ておくとよいでしょう。(別途業務風景等のインサートカットを撮影する場合には、それに応じた時間の拘束が発生します)

見た目を準備する

場所、日時を確定したら、いよいよ撮影にむけての最終準備です。撮影に向けてよく聞かれるのは「服装」です。会社のとしての社風もあるので一概には言えませんが、以下のような点に気を配るとよいです。

真っ白は避ける

白い服は光が反射しやすいので撮影現場では明るい印象になるのですが、カメラを通すと、相対的に顔が暗く見えてしまったり、逆に立体感のない映像になってしまうことがあります。とはいえ、服装を明るくすることによるライティング効果はあるので、明るくする場合には真っ白ではなく、ライトグレーやベージュ程度が望ましいです。

細かい模様は避ける

男性はネクタイやシャツなどで多いのですが、細かい縞模様の服装はできる限り避けたほうが良いです。撮影時には気づきにくいのですが、実際の映像になってくると「モアレ」と呼ばれる干渉縞が発生し、本来の模様とは別の縞模様が見えてくることがあります。柄物であれば、大柄なものや、模様の色のコントラストがハッキリしたものがよいです。

張り切り過ぎない

撮影だからといって、過度に作りこんだ服装をしてしまうと、会社のイメージとズレた印象を与えてしまいます。「カジュアルなイメージの会社だったのに、服選び大変そうだな…」「内勤でもスーツ着るのかな?」という、普段の会社の姿とは違う印象を持たれることもあるので、普段を意識した装いで撮影に臨みましょう。

インタビューの受け答え方

基本的には撮影ディレクターやインタビュアーの指示や問いかけに沿って答えていけばよいのですが、話し手としてできることもいくつかあります。

簡潔でスマートに見える答え方をする

インタビューを見たときに「結局何が言いたかったの?」とならないように、質問に対して一問一答となることを意識し、1問につき30秒程度でまとめるとスマートな印象を与えます。そのためのテクニックとして、以下のようなことを意識するとよいです。

  • 言い切りをする
    1つの回答の中に、「~でして」「~ですが」と、接続詞的なつなぎ方で回答が長くなってしまうケースがあります。「~です」と一度言い切ったうえで、「ですが」「そして」とつなげるだけで、聞き手にとって文章の意味が分かりやすくなります。
  • 結論から話す
    設問に対して一度結論(=回答)をしっかり提示してから、その理由を話すという構成で話すことで1つの文章で言いたいことがシンプルに聞こえます。
  • 指示語は使わない
    動画インタビューで指示語を使うデメリットは2つあります。1つは1つの文章で完結せず、別の文章で指示語の説明が必要になること。そしてもう一つは、動画インタビューを編集する際に文章の順番が固定されてしまうことです。

 

視聴者に聞き取りやすいように話す

話し手(インタビュイー)の雰囲気がそのまま会社の印象に直結する動画インタビューでは話す内容も大事ですが、話した内容が視聴者に適切に届くことも大事です。テロップ等で補うことは可能ですが、テロップではなく話し手の表情を見てもらうことが動画インタビューの最大の強みである「話し手(インタビュイー)を通して会社のありのままの姿を伝えるツール」としての価値を高めることに繋がります。

  • はっきりとした声で話す
    口を大きく開けて話すことを意識づけるだけで、普段よりもはっきりとした口調で話すことができます。
  • ゆっくり話す
    インタビューということを意識してしまうと、自分がイメージしているよりも早口になってしまうことがあります。
  • 適切な間をとる
    文章毎の区切りを意識して、次の文章に移る際に一呼吸置くようにしましょう。それだけで話し方に落ち着きが出てきます。また編集時に区切りがつけやすくなるため、編集によるフォローもしやすくなります。

インタビュイーは「撮影は初めて」というケースがほとんどなので、撮影ディレクター・インタビュイーもそのつもりで質問をします。繰り返しのような言い回しを変えての質問をすることもありますが、その都度自分の言葉で答えてもらえれば大丈夫です。「カメラを意識せず」というのは非常に難しいので、「インタビュアーとの対話」をイメージできるとうまくいくことが多いです。

インタビュー本番で何をチェックするか

インタビュアーの手配を制作会社に任せる場合でも、インタビューの立ち合いは必要です。その際には以下のような点に注意してインタビューをチェックしましょう。

言ってほしくない内容や不適切な内容はないか

例えば1日のスケジュールのコメントを考えてみましょう。

会社としての出社時間が9時なのに「自分の日課として7時に来て仕事の準備をする」というコメントが出た場合、視聴者に勤務時間に対する疑念を抱かせかねません。それが会社命令ではなく自発的なものであったとしても、視聴者がどのように受け取るのかは別です。

またプロジェクトや取引先など社外秘となりえる情報なども、制作会社で判断つかないケースがあります。関連するコメントが全て使えないということにもなりかねないので、内容については注意深くチェックしましょう。

言い換えを含めて、言ってほしい言葉は出たか

「視聴者にどんな印象を持って欲しいか」「どんなコメントが欲しいか」を事前に整理しておくことで、インタビュー本番時に取りたいコメントが取れているかをチェックすることができます。

緊張しすぎ、自信なさげ、不誠実な印象はないか

インタビュアーは話し手と初対面であることが多く、インタビュー時の話し方がいつも通りなのかの判断がつきにくいことがあります。そのため、人選時のヒアリングであったり、普段の仕事ぶりなどから、話し手がどれくらい緊張しているのか、早口になっていないかなどは立ち合いで判断する必要があります。
また、逆にリラックスしすぎて不誠実に見えてしまうこともあります。主観的な判断でもいいので、インタビュー時の「話し手の映り方」は意識してチェックしましょう。

編集で何をチェックするか

インタビューの撮影が終わったら、編集に入ります。編集では以下の点に注意して確認するとよいでしょう。

インタビュー内容が適切に反映されているか

当たり前ですが、編集により内容を削りすぎていたり、意味が通じないものになっていないかの確認は最低限行いましょう。

フィラーに違和感がないか

話し始めなどで出がちな「あー」「えーっと」といった、間を取るための無意味なつなぎ言葉はできる限り削ったほうが動画インタビューがスマートに見えます。とはいえ、無意識に出てしまう言葉なので、削ることで言葉の初めの音が聞こえにくくなったりすることもあります。そのため、必ずしもすべて削ることが良いわけではありません。違和感のない範囲で編集できているか確認しましょう。

設問と回答の順番の流れ

インタビューをしていく中で、深堀や想定していた設問よりも良い流れができることがあります。その場合、当初想定していた設問と回答の流れを変えなくてはならないことも多々あります。またリテイクを繰り返す中で「先ほども言いましたが」「その同僚(上司・先輩)が」など、前の話題を踏まえた話し方になってしまっているケースもあります。話の流れや順番に違和感がないかチェックしましょう。

インサートのバランス

インサートカットとは、インタビュー音声を活用しつつ、別の映像を差し込むことで音声と音声のつなぎ合わせの違和感を消したり、話している内容の説明を捕捉するために使われる映像のことです。

インサートカットの収録が不足すると、フィラーの消込みや言い間違いの訂正の際、映像に違和感を残してしまいます。とはいえ、むやみやたらにインサートばかりを使うと、インタビュー動画として大事な「話し手を通じてありのままを伝える」という長所が薄れます。

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まとめ

動画インタビューで大事なのは、話し手(インタビュイー)を通して、自分(求職者)はこの会社になじめるかどうか、自分が働く姿を想像できるか、といった共感を感じてもらえる情報を提供できているのかだと思います。

逆を言えば、どんなに話が上手な方がインタビュイーとして立っても「自分には務まらないな」と感じられてしまえば共感は得られませんし、一方であまり砕けすぎても意図する人材にリーチできないということもあります。

会社や組織の印象を、ありのままに伝えるためにどのような準備が必要か、記事を通して考えてもらえればうれしいです。