もう迷わない!アニメーション動画と実写動画のメリットとデメリット

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動画を制作したいと思った時、ご担当者様が最初に悩むポイントとして「アニメーションにするか実写撮影にするか」という制作手法の選択があります。こちらではそんな時に役立つ判断のポイントや、アニメーション動画・実写動画それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。

アニメーション動画と実写動画の違い

アニメーションは一言で表現すると「架空の存在を表現したもの」です。ひとえに、アニメーション動画といっても原画から動画を起こし1枚絵の連続で表現する従来型のセルアニメ(フレームバイフレーム)制作や、オブジェクトと呼ばれるイラストデータを作成し開始点と終了点の動きを設定するキーフレームによるモーションアニメ制作など、アニメーションの制作においてもいくつかの手法が存在しますが、いずれの手法においてもアニメーションはあくまでも「架空の存在」を表現するものです。

一方実写でも、ストーリーに沿って登場人物に演じてもらうドラマ形式や、テーマに沿ってストーリーを組み立てていくドキュメンタリー形式、テーマに対してクイズ・解説・ディスカッションなどを織り交ぜていく番組形式など、様々な手法があります。しかしいずれの場合においても、実写は「被写体が実在するもの」であることが前提となっています。

この「アニメーション:架空の存在を表現したもの」「実写:被写体が実在するもの」という特徴の違いにより、各制作手法ごとに「メリット」「デメリット」が生まれます。

 

アニメーション動画のメリット

抽象的・複雑な内容を分かりやすく説明できる

実写の動画では、人の微妙な表情や背景に写り込んでいるものなど、説明する必要のないものも含めて、視聴者側の受け取る情報が比較的多いと言えます。

一方、アニメーション動画においては、視聴者が受け取る情報を意図的に制限したり抽象化して説明することができるため、必要な情報を整理したうえでピンポイントで伝えることができます。

特にBtoBソリューションをはじめとした無形商材や、Eラーニング用の研修動画などの場合、実写動画で網羅的に説明しようとすると、冗長で強弱がない映像になりがちです。適所でアニメーションを利用し、ポイントを整理してあげることで、クオリティを高めることができます。

 

現実では表現不可能な描写が可能

もう迷わない!アニメと実写を選ぶ6つの判断ポイントアニメーションでは、現実には存在しない架空の生き物や物体を映像化したり、空を飛ぶ・壁を歩きまわるといった物理法則を無視した表現、数字や量・時間など概念的な情報をグラフィック化することができます。

  • 現実には存在しない架空のキャラクターや物体の映像化
  • 空を飛ぶ・壁を歩きまわるといった物理法則を無視した表現
  • 人物の気持ちなど分かりやすく表現した演出
  • 数字や量・時間など概念的な情報のグラフィック化
  • リアルだと刺激が強すぎる内容を柔らかくした表現

など、実写では難しい様々な表現をアニメーションで実現することができます。

 

幅広い視聴者層に対応しやすい

人物や場所などを実写で表現したばあい、ペルソナや利用シーンが固定化されてしまう恐れがあります。上の図のように、実写では「人種」が際立ってしまいますが、アニメでは老年夫婦というアイコンだけが強調されます。このように、アニメーションでは様々なものを抽象的に表現することが可能となるため、視聴対象を絞り込めない場合や、幅広いターゲット層を想定した場合には、利用がしやすいのが特徴です。

 

修正・変更・量産に強い

アニメは修正が容易

登場人物の性別や服装、行動している場所やシチュエーションを変更する場合など、実写動画ではその設定毎に撮影しなくてはなりません。

一方、アニメーションでは、その変更点に合わせて作り変えることが容易であるため、テーマとなるサービスや商品の仕様変更や、視聴動向を踏まえての修正がしやすく、動画の再利用行う場合には非常にコストパフォーマンスが高い制作手法です。

予め複数パターンの作成が予定されている場合は、事前にテンプレートのようなものを用意しておくことで、スピーディーに複数パターンを用意するような設計も可能です。

 

アニメーション動画のデメリット

長尺コンテンツでは費用がかさむ

アニメーションでは、シーン数・動画の尺・動きの複雑さなどで費用が決まってきます。シーン数や動画の尺が増えるということは、その分イラストレーターが担うグラフィックの作成や、アニメーターによる編集作業が比例的に増えていくことを意味します。そのため、研修動画や学習教材の動画などにおいて複雑なアニメーションを長時間作成する場合などには、コストパフォーマンスが悪化する恐れがあります。

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言語化できない雰囲気や美しさが伝わりにくい

アニメーションでは様々な表現が可能な反面、すべての架空の状況となるため、リアリティを伝えたり、事実を伝えることには不向きな傾向があります。例えば、社員の人柄やいきいきしている様子を伝えたい、商品のフォルムや景色の美しさを伝えたいといった場合などは、アニメーションで表現することが難しいケースです。このように登場人物や商品などの雰囲気や外観が、映像自体の重要なコア要素である場合においては、アニメーションでなく実写を選択すべきであると言えます。

 

キャラクターに感情移入しにくい

創作した架空のキャラクターでは視聴者がその登場人物に自分自身を重ね合わせて感情移入することが難しいため、共感を促すコンテンツには不向きである場合があります。特にモーションアニメではキャラクターの表情の機微を表現することは難しく、感情に訴えた表現は不向きです。そのため、悩みや喜びといった共感してもらいたい主人公の感情を表現する場合には、キャラクターの表情だけでなく、その人物のバックグラウンドや、その感情に至った背景をストーリー全体で表現する必要があります。

 

実写動画のメリット

信頼性・説得力が高まる

製品・商品・人物・風景・施設、起きた事象、出演者によるレポートなど、映像自体が「事実」を伝えることになるため、信頼性・説得力が高まります。例えば「信頼性の訴求」が最重要課題である「お客様の声」の動画化において架空のキャラクターを登場させ、プロのナレーターの声を吹き込んでみたらどうでしょう?

例え内容が事実であったとしても、当然そのコンテンツの信頼性や信憑性は低くなってしまいます。

演出や脚色が少ないことで伝わる「信頼感」というものは、ドキュメンタリー的な実写でしか表現できません。仕事の様子を写した社員紹介動画や、実際のインタビューを通じてお客様の声を紹介するようなコンテンツにおいては、実写動画が採用させるケースがほとんどです。

 

体験をイメージさせることで共感を得やすい

実写動画は、役者を使ってのドラマ型式による感情表現や、製品サービスを使った人の体験談や感想など、実際の登場人物を使った共感型コンテンツや感情を揺さぶるようなエモーショナルな表現が得意です。

商品・サービスを使ったことで自分自身が変わったという「サクセスストーリー」や、よくある課題やシチュエーションを投げかけるような「課題訴求」など、視聴者が没入しやすいストーリー構成で実写動画を用いることで、視聴者が登場人物に共感し「疑似体験」をすることが可能になるため、より共感を得やすくなります。

 

ビジュアル・雰囲気・人柄・情景がダイレクトに伝わる

アニメーションは良い意味でも悪い意味でも全てを抽象化してしまうため、実際のビジュアルや雰囲気を伝えることには不向きです。アニメーションでは伝達することが不可能な雰囲気や質感などの情報を「リアルに」届けることができるのが実写であり、コンテンツとしての魅力がより一層高めることができます。

例えば登場人物が纏っている雰囲気は、見た目や背格好だけでなく、声のトーン・喋り方・仕草・表情など、様々な情報を介して視聴者へ伝達されます。また風景や情景などリアルでしか伝えきれない情報もあり、観光施設や店舗などの撮影などで与えられる情報はアニメーションでは表現しきれないことがあります。

 

実写動画が不得意なところ

修正や変更の対応に限界がある

実写動画においては、一旦撮影を終えてしまった後には、修正可能な範囲が限定されます。また、収録した動画そのものをCGや特殊合成などで後から加工しようと思うと、労力が大きく、それ相応のコストが発生してしまいます。そのため、動画を転用したり、変更を前提とする場合には、台本制作・撮影計画の確定前から事前に設計しておく必要があります。

 

複雑な内容や抽象的な表現が苦手

無形商材を取り扱う場合など、概念的・抽象的な情報などをテーマにする場合、実写動画だけ全て表現すると情報過多になり、伝えるべきポイントが正しく伝わらない恐れがあります。そのような場合は、別途CGアニメーションを組み合わせたり、テロップやナレーション等で補うなどの表現上の工夫が必要です。

 

短尺の場合のコストパフォーマンスが悪い

実写撮影においては、撮影機材・出演者(キャスト)・撮影スタッフ・撮影場所の確保や移動など、アニメーションでは発生しないイニシャルコストがあります。そのため、極端に短い撮影の場合、結果としてコストパフォーマンスが悪化する恐れがあります。異なる尺やシチュエーションの撮影を検討したり、他で転用できる素材を撮りだめておくなど、スタッフやロケ場所の稼働時間を最大限に活かした撮影計画を検討する必要があります。

 

実写とアニメを選択する判断ポイント

これらの表現上の特性をまとめていくと、動画で表現したい内容によって以下のように判断を絞ることができます。

特定の視聴者層に訴求するものか

視聴対象が明確な場合には、実写動画でペルソナを表現しやすいキャスティングをすることで、視聴者に共感しやすい、感情移入しやすい環境を作ることが可能になります。一方で、オーディエンスのターゲットを限定しない認知重視の動画広告や、特定の顧客イメージをつけたくない商材、グローバルな利用やポリコレ的な配慮が必要な場合はアニメーションもおススメです。

今後の修正や変更が予定されているか

複数パターンの制作や今後の変更想定している場合などは、アニメーション動画を用いることでスピーディーな施策の実行にもつながるだけでなく、トータルのコストも抑えやすいと言えます。具体的な活用シーンとしては、動画広告によるABテストや多言語化などが挙げられます。当然、実写動画においても今後のカスタマイズや変更の影響を織り込んだ業務設計を行うべきではあるので、動画制作を依頼する際には、実写・アニメーション問わずできるだけ今後の利活用のイメージも伝えたうえで依頼することをオススメします。

主題となる明確な被写体が存在するかどうか

商品・景色・施設・人物など、主題とする被写体自体のビジュアルや雰囲気が映像において非常に重要な要素である場合は実写動画が最適です。具体的には、インバウンドの観光動画や社員紹介動画、お客様の声、デザイン訴求の商品などが挙げられます。一方で無形商材・サービスなどの場合や、抽象的な説明が必要なコンテンツの場合にはアニメーションのほうがスムーズであることが多いです。

訴求ポイントが「機能的便益」か「情緒的便益」か

アニメーションでは様々な状況やシチュエーションを容易に表現できます。具体的に想起できる利用シーンがあり、かつその機能により得られる価値の表現が明確である場合には、アニメーションでの動画制作がおススメです。一方で、実写では商品の質感や雰囲気などを伝えることが得意です。そのため、サービス・製品を使った時にどのような体験ができ、どのような感情変化があるのかなど、心理的なメリットを効果的に表現する場合は実写動画がおススメです。

複雑な構造や原理を説明するものか

実写で表現する場合には、実験施設を活用したり、特殊なセンサーを持った機材を手配して演出面でカバーすることは可能ですが、原理・構造や実際に可視化できない箇所は、アニメーションに頼る必要があります。特に内容が複雑な、業務用の機器の原理や操作方法の説明などについては、実写とアニメーションのハイブリッド動画なども検討すべきです。

信頼性や説得力が重要とされるコンテンツか

「匿名的」なアニメーションに動画対して、「実名的」な実写動画では、映像のメッセージにリアリティが付加されるため信頼性や説得力が増します。具体的には施設紹介や会社案内や採用動画など、信頼性や説得力が重要視されるコンテンツにおいては、実写動画を選択するほうがよいでしょう。

 

制作目的を明確化することが一番重要

このように、ビジネスシーンで動画を活用したいといった場合には、ビジネス上の目的からある程度、制作の手法を絞り込むことが可能となります。
一方でビジネスシーンでの場合に必ずついて回るのは「制作費」です。アニメと実写の制作費の違いは次の関連記事を参考にしてみてください。

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