もう一度抑えておきたい!YouTubeのTrueView広告の基本【入門編】

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従来のオンライン広告に加えて、動画広告も始めてみたい…そんな方はまずYouTubeの動画広告「TrueView(トゥルービュー)広告」から初めてみることをオススメいたします。

今回は【入門編】と題して、動画広告の代表格であるこのTrueViewの動画広告について、どのような広告なのか、またどのようなメリットがあるのか、その概要をお伝えしてまいりたいと思います。

TrueViewは機能追加や名称変更など非常に動きの多い媒体ですので、既にご存知という方も復習・情報アップデートを兼ねてご覧いただければ幸いです。

そもそもTrueViewって何?

TrueViewとは、Googleが提供しているインターネット広告サービス「Google AdWords(グーグルアドワーズ)」を通じて、YouTubeやGoogleディスプレネットワークへ配信できる動画広告の総称です。

このTrueViewを利用することで、言わずと知れた巨大動画プラットフォームYouTubeへ動画広告を配信できるようになります。利用にあたってはYouTubeアカウントとGoogle AdWordsのアカウントが必要になりますが、アカウント自体は無料で開設でき、広告費用以外の利用料は発生しないので、誰でも気軽に始めることができます。

TrueViewには大きく2種類、YouTubeで動画を視聴する前に表示される「TrueViewインストリーム動画広告」と、YouTubeの検索結果画面や再生画面などからリンクで動画へ誘導する「TrueViewディスカバリー広告」があります。

更に、今年の5月より6秒間・スキップ不可の「バンパー動画」というものが、新たな動画広告フォーマットとして追加されました(バンパー動画は、これまで予約制の純広告でスポンサーシップ パッケージの一部としてしか利用できませんでしたが、今年の10月頃にAdWordsからの出稿に対応したようです)。

現状のYouTubeの動画広告の種類を分類すると以下のようになります。

YouTubeの動画広告の種類

今回は、この中でも、誰でもカンタンに出稿可能なオークション制の動画広告「TrueView動画広告」・「バンパー広告」に焦点を当てて紹介していきます。


TrueView・バンパー広告を使用する5つのメリット

1.膨大な数のYouTubeユーザーにリーチできる

TrueView広告の一番の魅力は、なんといってもその広範なリーチ力でしょう。

世界88カ国以上、10億人以上の利用者を誇るYouTubeですが、日本においてもNo.1の利用者数を誇り、PCでの利用者数は1,923万人・スマートフォンでの利用者数は3,580万人という規模に達しています。

日本における動画サービスの利用状況(出典元:ニールセン Sep, 2015

2.広告がクリックされたり、30秒視聴されなければ広告費がかからない(TrueView)

TrueViewにおいては、興味がない人への広告表示において課金が発生しにくい仕組みになっているため、無駄な広告費用が発生しずらく、コストパフォーマンスの高い広告が可能になります。

なお、バンパー広告は、TrueViewとは配信形式や課金仕様が異なります。それぞれの広告フォーマットの特徴やどのような場合に課金が発生するのかについては、後ほど詳しくご紹介してまいります。

3.性別、年齢や検索キーワードなどでターゲティングが可能

ターゲティング

TrueViewやバンパー広告では、Google AdWordsの機能を用いて、性別・年齢・子供の有無や、興味・関心、キーワードなどにより広告を表示する対象者を条件で絞り込むことが可能です。

更に、特定のYouTubeチャネルやYouTube動画、ウェブサイトなど、広告を表示したい場所(プレースメント)を指定したり、日時や曜日、デバイスなどで絞り込むも可能です。

ターゲットを絞り過ぎると対象者の母数が減り、オークションでの入札競争が激しくなり、結果として広告視聴単価が上昇しやすい傾向にあるため注意が必要です。

4.リマーケティングリストを使ったターゲティングが可能

Google AdWordsの基本機能には、WEBサイトや動画などのコンテンツに訪問したユーザーのリスト(リマーケティングリスト)を作り、そのリストに対して広告を表示することができるリマーケティングという機能が存在します。

このリマーケティングリストを活用することで、
・動画広告を視聴したユーザーに対して、自社サイトへ誘導するバナー広告を出す
・自社のサイトにアクセスしたユーザーに対して、動画広告を表示させる
・新規ユーザー/既存ユーザーで動画広告のクリエイティブの出し分けを行う
など複合的な施策を実施することが可能になります。

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5.Google AdWordsやYouTubeアナリティクスで動画広告の分析ができる

高速のPDCAが回しやすいのも、TrueView・バンパー広告の特徴の一つです。TrueView・バンパー広告の結果は、Google AdWordsやYouTubeアナリティクス、Googleアナリティクスで確認することができます。

例えば、
どれくらいの数見られたか:視聴回数/視聴者数、インプレッションなど
どらくらいの量見られたか:再生時間、視聴者維持率など
どれくらい反応があったか:クリック数、CV数、チャンネル登録数、共有数、評価数など
を確認することが可能です。

なお、YouTubeアナリティクスでは自身のチャンネルの全ての動画が対象となるのに対し、Google AdWordsでは有料の動画視聴にフォーカスした分析機能が提供されています。


TrueView・バンパーのフォーマットの概要

それでは、冒頭でご紹介した「TrueViewインストリーム動画広告」と「TrueViewディスカバリー広告」、「バンパー広告」の3つのフォーマットについて詳しく見ていきましょう。


1.TrueViewインストリーム動画広告

TrueViewインストリーム広告とは、YouTubeやGoogleディスプレイネットワーク上の動画プレイヤー内で動画が再生される前に挿入される動画広告です。視聴者は5秒経過すると動画広告をスキップするかどうかを選択することができます。

<広告が表示される場所>

① YouTubeで配信される動画(他サイトの埋め込み動画含む)

YouTubeで配信される動画(インストリーム)

YouTubeで配信される動画(インストリーム)

② Google ディスプレイ ネットワークのWEBサイトやアプリ

GDNのWEBサイトやアプリ(インストリーム)

GDNのWEBサイトやアプリ(インストリーム)

③その他AndroidとiOSのYouTubeアプリやインターネットテレビなど

<課金条件>

下記いずれかの条件を満たした場合に課金
・動画広告を30秒間視聴する(動画広告素材が30秒未満の場合は最後まで視聴する)
・視聴者が主体的に特定のアクションを起こした場合
(WEBサイトへのリンク、CTAオーバーレイ、カード、コンパニオンバナーなどをクリック)

以前のTrueView広告では、動画プレイヤー全体がクリック可能なWEBサイトへのリンクになっていましたが、2015年6月以降は、誤クリック防止・エンゲージメント指標の強化・全デバイスの体験の統一化を目的として、動画プレイヤー上で明示されたエリア(WEBサイトへのリンク、CTAオーバーレイ、カードなど)のみクリック可能な領域となっています。

また、動画プレイヤー外に表示されるコンパニオンバナーについても、以前は動画広告をスキップした後にクリックした場合に課金の対象外でしたが、現在では動画広告のスキップ後であってもクリックした場合は課金対象になっています。

<TrueViewインストリーム広告の利点>

30秒間以上視聴されないと課金されないうえ、5秒間は確実に見せることができるというのが利点です。

<補足>

皆さまも一度はご覧になったことがあるかと思いますが、YouTubeにはスキップ不可のインストリーム広告も存在します。

このインストリーム広告は、標準インストリーム広告と呼ばれ、TrueViewインストリームのようなオークション形式ではなく、Googleへの事前予約購入によって配信面を確保する純広告になります。なお、出稿には最低利用金額が設定されており、CPM(固定インプレッション)ベースで購入することができます。


2.TrueViewディスカバリー広告

TrueViewディスカバリー広告とは、YouTube上で視聴している動画の右横の関連動画欄、検索結果一覧、Google ディスプレイ ネットワークのWEBサイト内などに、動画のサムネイルを表示したり、YouTube動画上にコンパニオンバナーを表示して、YouTube動画やYouTubeチャンネルへ誘導する広告です。

なお、これまでインサーチ広告と呼ばれていた検索結果に広告表示するフォーマットは、2014年の4月にインディスプレイ広告へ統合され、他の広告同様キーワードに加えて、性別・年齢・リマーケティングリストなどでのターゲティング設定が可能になりました。

更に、2016年6月にインディスプレイ広告がディスカバリー広告と名称を変えてリニューアルし、YouTubeトップページ掲載への対応や、YouTube検索での広告とクエリの関連性の向上に加え、広告視聴単価の減少、広告枠の倍増、広告の見た目の改善などが行われました。今後サードパーティーのトラッキングとの互換性も提供予定であることが伝えられています。

<広告が表示される場所>

① YouTube上の検索結果欄

YouTube上の検索結果欄(ディスカバリー)

YouTube上の検索結果欄(ディスカバリー)

② YouTube上の関連動画欄の上

YouTube上の関連動画欄の上(ディスカバリー)

YouTube上の関連動画欄の上(ディスカバリー)

③ YouTube動画上のオーバーレイ

YouTube動画上のオーバーレイ(ディスカバリー)

YouTube動画上のオーバーレイ(ディスカバリー)

④ Google ディスプレイ ネットワークのWEBサイトやアプリ

GDNのWEBサイトやアプリ(ディスカバリー)

GDNのWEBサイトやアプリ(ディスカバリー)

⑤ YouTubeトップページ(マストヘッドが販売済みでない場合)

<課金条件>

・広告がクリックされた場合に課金

<TrueViewディスカバリー広告の利点>

TrueVuewインストリーム広告とは異なり、視聴者による能動的なアクションによる視聴になるため、ネガティブな印象を与えづらいというのが利点です。


3.バンパー広告

バンパー広告とは、6秒以内のスキップできない動画広告を、YouTubeやGoogleディスプレイネットワーク上の動画プレイヤー内で動画が再生される前に挿入できるフォーマットです。

<広告が表示される場所>

① YouTubeで配信される動画(他サイトの埋め込み動画含む)

YouTubeで配信される動画(バンパー)

YouTubeで配信される動画(バンパー)

② Google ディスプレイ ネットワークのWEBサイトやアプリ

GDNのWEBサイトやアプリ(バンパー)

GDNのWEBサイトやアプリ(バンパー)

<課金条件>

・広告が1,000回表示された場合
※TrueViewとは異なり、バンパーはインプレッション単価(CPM)制を採用しており、インプレッション数に基づいて課金が発生します

<バンパー広告の利点>

動画を確実に見せることができるうえ、ユーザーの視聴体験に与える影響が少ないため、幅広いユーザーにリーチしてブランド認知を高めるのに最適です。
TrueViewと掛け合わせることでより高い成果が期待できます。


用途特化型TrueViewキャンペーン

TrueViewには、通常使用される視聴回数・認知度・CV数の増加につながる広告の他に、動画広告から直接モバイルアプリストアへ誘導し、インストールを促進できる「モバイルアプリのインストール向け TrueView」と、GoogleのMerchant Centerの商品データを表示し、動画から直接商品の購入を促進する 「ショッピング向け TrueView」という特定の用途に特化した特殊なキャンペーンタイプも存在します。

TrueViewの特殊なキャンペーンタイプ

TrueViewの特殊なキャンペーンタイプ

なお、「モバイルアプリのインストール向け TrueView」ではインストリーム・ディスカバリーのいずれか、「ショッピング向け TrueView」はインストリームのフォーマットで配信することができます。また、「モバイルアプリのインストール向け TrueView」での配信対象は、YouTube のモバイルアプリとタブレット用アプリのみとなり、PCやYouTube モバイルサイト、Google ディスプレイネットワークには掲載されません。


おわりに

ここ数年のFacebookやTwitterの動画関連機能の強化によって、YouTubeの動画広告マーケットにおけるシェアは低下しているものの、依然として動画プラットフォームの王者として君臨し続けており、広告の「面の大きさ」という点では、膨大なユーザーを抱えるYouTubeのTrueView広告を外すことはできません。

YouTubeは2016年6月に「YouTube Director for Business」という、スモールビジネスのための動画広告制作のための撮影編集アプリを、アメリカ・カナダで限定リリースしました。

YouTube Director for Business

YouTube Director for Business

同時に公開された「Director onsite」では、シカゴ・ボストン・サンフランシスコ・アトランタ・ワシントンDC・ロサンゼルスの地域限定の試験運用ではありますが、YouTubeで$150以上の広告費をかけた場合には、「YouTube Director for Business」を使って撮影・編集までを無料で行うという驚くべきサービスも展開しはじめています。

果たしてYouTubeは、追随してくる他のプラットフォームを突き放して、動画広告市場におけるプレゼンスをより高めることができるのか。今後の動きにますます注目です。

YouTube Director onsitedでの制作風景

次回の記事では、実践編として動画広告の出稿方法などについて詳しくご紹介していきたいと思います。
もう一度抑えておきたい!YouTubeのTrueView広告の基本【実践編】

2016/7/29 追記:2016年6月発表のディスカバリー広告について反映しました
2016/10/19 追記:6秒スキップ不可のバンパー広告について反映しました


動画制作・動画マーケティングは「スマービー」


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著者について

TAKAJUN

Smarveeディレクター。 動画TIPS・ハウツー情報を中心に投稿。 犬が好き。