これぞ職人技!パワーポイントのアニメーション活用術

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「パワーポイントのアニメーション機能を活用すればアニメーション動画が作れるのでは?」と思ったことはありませんか?

パワーポイントでのプレゼンテーションでのアクセントにアニメーションを活用したいというニーズは多くあるかと思います。今回は、パワーポイントのアニメーション機能を活用した動画をご紹介したいと思います。

CGアニメーションの作り方の分類

そもそも、アニメーションの機能を有するパワーポイントをはじめ、現在使われているCGアニメーションツールではどのようにアニメーションを作っているのでしょうか。

アニメ業界でデジタル化が進む以前は、セルと呼ばれる透明なシートを使ってのによるアニメーション制作が中心でした。TVアニメなどで用いられたセルアニメーションでは、セルと呼ばれる透明のフィルムにアニメとして動かしたい部分を1コマずつ書き起こし、動かない背景画等と重ね合わせていくことですべてのコマを静止画の連続で動かします。デジタル化が進んだ現在でも、基本的には「静止画の連続」という考え方は変わりません。俗にいう「パラパラ漫画」がより高速に動かされていると考えていただければイメージが沸きやすいかと思います。

一方で、CGアニメーションでの主流は「キーフレームアニメーション」です。キーフレームアニメーションとは、動かす対象物の開始時点の状態と終了時点の状態を定義し、アルゴリズムを用いて、開始から終了までの中間部分を自動生成することでアニメーションを生成します。この場合、キーフレームを設定するオブジェクトの数や、開始点と終了点の設定数に応じて、アニメーションの滑らかさが決まります。

従来型アニメ制作とキーフレームアニメ制作の違い

従来型アニメ制作とキーフレームアニメ制作の違い

パワーポイントのアニメーション機能も「キーフレームアニメーション」を設定する形で構成されています。


パワーポイントでのアニメーション機能

前述のとおり、パワーポイントではキーフレームによるアニメーションの機能を備えており、オブジェクトに対して「開始点」もしくは「終了点」のキーフレームに対して、指定するアクション(アルゴリズム)を1つずつ選ぶという手法によりアニメーションを設定することが可能です。

PowerPoint2013のプリ設定アニメーション

PowerPoint2013のプリ設定アニメーション

指定が可能なアクションは、全部で170種類(PowerPoint2013)。それ以外に、オブジェクトを移動させる(軌跡を指定する)ことは数十種類のテンプレートを選ぶことも可能ですが、自由に指定することも可能です。しかしながら、専用のアニメーションソフトに対して、パワーポイントでは以下のような機能は持っていません。

■指定されたアクション以外のアニメーション
例:図形の形状変化

■他のオブジェクトと連動させたアニメーション
例:一方の手の肘と手首を同時に動かしてバイバイのしぐさを表現する

そのため、思い通りのアニメーションを実現するためには、パワーポイントの機能を「工夫して組み合わせる」ということが必要になってきます。例えば、「図形を徐々に変化させる」場合であれば、変化途中の静止画を1コマずつ書き出して、その部分だけを「コマ撮りアニメーション」にするといった工夫が必要であったり、「肘と手首を同時に動かす」といった場合には手首の関節にあたる部分の動きにあわせて、手首から先を「軌跡」の機能をつかって連動させるといった工夫が必要となります。


パワーポイントで作られたアニメーション

前述のように、ある一定以上の複雑な動きを実現するためには、オブジェクトを単純化し、それぞれのオブジェクトに個別の動きを与えることが必要となってきます。今回は、パワーポイントの機能をいかんなく発揮し、一つの映像作品になっているものをご紹介します。

パワーポイントでロータリーエンジン

こちらの作品は、パワーポイントのオートシェイプ機能を活用して、「スピン」という単純な動きだけでシンプルにロータリーエンジンのメカニズムを表現しています。

単純な「スピン」のアクションだけを設定しているように見えますが、パワーポイントの「スピン」は回転の軸となる点を任意に設定できないため、透明なオブジェクトなどを組み合わせて回転の軸を調整する必要があります。ロータリーエンジンの描写も含めて、パワーポイントのアニメーションの設定で非常に高度な設定がなされている作品です。

Transitory Nature

動かすオブジェクト自体は非常にシンプルなシルエットですが、オブジェクトそれぞれに個別に設定された膨大なアニメーションにより、「自然のはかなさ」を表現した芸術作品に仕上がっています。

パワーポイントに登録されているほぼすべてのアニメーションエフェクトをまさに「フル活用」し、1200を超えるアニメーション設定により、2分を超える超大作になっています。

後半の水の揺らめきの表現にランダムストライプを使うなど、随所で想像もしないようなアニメーション設定がなされていたり、同じ形状のオブジェクトを時間差で動かすことで「竜」が空を滑らかに飛ぶ表現を行っていたりと、それぞれが計算しつくされた緻密な設定がなされています。

Office スタイル カタログ「パラパラ漫画」PowerPoint ムービー

こちらの作品はタイトルにある通り、「パラパラ漫画」として静止画を連続的に見せる手法で作られています。

厳密にいえばパワーポイントのアニメーション機能はあまり活用されておらず1150ページのスライドを連続的に切り替えるアニメーションです。

しかしながら、1150枚のスライドは、パワーポイントのフリーハンドのオートシェイブを活用して作られており細かい動きをオートシェイプの編集を組み合わせて作っている力作に仕上がっています。


まとめ

今回は、パワーポイントの機能だけでアニメーションを制作した3つの事例についてご紹介させていただきました。パワーポイントも使い方次第では一つのストーリーアニメーションを作ることが十分可能であることはお分かりいただけたかと思います。

機能をどう組み合わせるか、またオブジェクトをどうやって細かく分けるかなどを工夫することで、普段使いのパワーポイントにもちょっとした驚きを与えることが可能になります。

職人技ともいえるパワーポイントのアニメーション。ぜひ参考にしてみてください。


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せっきー