前回、動画マーケティングにおいてインタラクティブ動画の概要について紹介しました。
今回は、国内外の数あるインタラクティブ動画プラットフォームの中から、選り抜きのプラットフォームをピックアップして紹介していきます。
インタラクティブ動画プラットフォームまとめ9選
① YouTube
10億人以上のユーザーが利用している「YouTube」では、無料で使える編集機能を使ってアップロードした動画にアノテーションおよびカードと呼ばれるインタラクション機能を追加することで、インタラクティブ動画を手軽に制作することができます。
ただし、機能は非常にシンプルで、基本的にリンク先に飛ばすことのみなので、使用方法をアイディアで補う必要があります。また、注意すべきは、アノテーションがモバイルからの視聴では表示されないという点です。特にC向けではモバイルへの対応は必須ともいえるので、今後新規でインタラクティブ動画を制作する場合は、カード機能を使用することをお勧めします。
動画の管理画面ではインタラクティブボタン(カード)に対するクリック数とクリック率を確認することができます。
・無料
・モバイル/PCで視聴OK
・インタラクション部分の分析可能
・日本語対応
② Eichi
https://www.ddf.dentsu.co.jp/service/eichi/
「Eichi(エイチ)」は、株式会社電通ダイレクトフォースが提供する、インタラクティブ動画の制作・配信プラットフォームです。
HTML5プレイヤーで動作するため、PCだけでなくスマートフォン上でも動作し、視聴環境を選ばないという利点があります。ストーリーの分岐はもちろん、動画に出てくる商品をタップでお気に入りに設定し、お気に入りリストからそのまま購入できるビデオコマース機能や、インタラクティブなマップ、ウェブページの埋め込みなどが可能です。
動画の制作に関しては、今後自由にユーザー側で制作可能の予定となっていますが、2016年8月時点では電通ダイレクトフォースに発注する必要があります。
・無料
・モバイル/PCで視聴OK
・インタラクション部分の分析可能
・日本語対応
③ Vidzor
「Vidzor」はインタラクティブ動画を制作・拡散できるだけでなく、動画の再生やインタラクション部分に対する反応も計測・分析可能な総合プラットフォームです。
動画内にフォームの設定、投票機能を追加することが可能で、その結果はリアルタイムに反映されます。編集プラットフォームはドラッグで簡単に操作可能。言語は英語のみですが、制作初心者にも難しくなく、直感的に分かる仕様となっています。
1プロジェクトあたり50ビューまでという制限はありますが、無料で使用可能です。
・有料
・モバイル/PCで視聴OK
・インタラクション部分の分析可能
・日本語未対応
④ Eko(旧Interlude)
イスラエルのスタートアップであるInterlude社が提供する「Eko」は、制限なく無料で使用可能なプラットフォームです。ペプシのグローバルキャンペーンで使用されたこともあり、目にしたこともある方も多いでしょう。また、今年の6月にソニー・ピクチャーズ エンタテインメントから大型資金調達も行っており、非常に注目されているサービスです。
サービスは全て英語表記ではありますが、制作プラットフォームの「TreeHouse」上に掲載されているチュートリアルが充実しており、制作にあたり非常に参考になります。
また、インスピレーションを得られるような作品例とその制作方法に関しても動画で学べます。編集は分岐点を線でつなぎ合わせていく電気回路のようなインターフェースとなっており、この手の編集方法に慣れている方にはとっつきやすい、そうでない方は慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。
操作に慣れてくれば、複雑な分岐も俯瞰して確認・設定できるため、非常に高いポテンシャルを持っているサービスです。テンプレートも用意されており、それを元にインタラクティブ動画を制作することが可能です。
・無料
・モバイル/PCで視聴OK
・日本語未対応
⑤ Rapt Media
「Rapt Media」は、基本有料のプラットフォームですが、30日間は無料で使用が可能です。
レスポンシブなHTML5のビデオプレイヤーは、どんな比率でも表示可能で、デスクトップとモバイルの両方で視聴できます。
動画の視聴データはリアルタイムでの計測と分析が可能で、GoogleアナリティクスやAdobe Analytics、Core Metricsなどのデータを統合することで、より高度な分析を行うことができます。
・有料
・モバイル/PCで視聴OK
・インタラクション部分の分析可能
・日本語未対応
⑥ hapyak
「hapyak」では、5本まで制作無料ですが、制作動画を公開する為には有料会員になる必要があります。費用は$500/月から。
チャプターの設定、クイズの挿入などのインタラクション機能の追加はもちろんのこと、それに対するアクションの分析機能もあり、プランによってはセールスフォースやGoogleアナリティクスとの連携も可能です。
編集プラットフォーム内で分析も可能なので、デジタルマーケターにとっては使い勝手のいいプラットフォームかもしれません。
・有料
・モバイル/PCで視聴OK
・インタラクション部分の分析可能
・日本語未対応
⑦ brainient
「brainient」は、はじめの5万回表示は無料、動画制作込みだと1.25ドル/cpm(※)、動画制作抜きだと0.80ドル/cpmという表示回数によって価格が決まる特殊な料金体系となっています。
※cpm:1,000回表示あたりの広告コストのこと
また、brainientでは、CSSとJavaScriptもサポートしており、リッチメディア広告の作成が可能です。
・有料
・モバイル/PCで視聴OK
・インタラクション部分の分析可能
・日本語未対応
⑧ WireWax
https://www.wirewax.com/home/create-own
「WireWax」は、動画尺の上限10分、かつ月間5000ビューまでという制限がありますが、無料で利用可能です。有料プランは100ドル/月から。
ただし、有料プランと比べて無料プランでは使える機能にかなり制限がある為、無料で使用したい方にとっては、このプラットフォームを使用する利便性はあまりありません。
動画内の顔を認識して自動追跡するインタラクションボタンの設定など、インタラクション機能の編集においては他のプラットフォームではないような機能があり、差別化がされています。
ただ、現状では他サービスのような分析機能がないため、片手落ち感があります。また、編集に関しては何から始めればいいかがわからず、少々とっつきにくさを感じました。
・有料
・モバイル/PCで視聴OK
・日本語未対応
⑨ cinematique
「cinematique」では、動画上の気になる箇所をクリックするとお気に入りとして登録され、いつでもクリック範囲に関連した情報を確認できます。
無料試用可、有料版は100ドル/月から。プランによってインタラクション編集に制限があり、無料版で出来るのはクリックした範囲に関連付ける情報の設定のみとなっています。
また、インタラクション機能に対する分析機能が用意されています。編集ではピンを動画内に配置し、クリック範囲を決めることでインタラクション機能を付与します。
さらにそのインタラクション範囲に対して関連する商品や画像、動画などを設定できます。英語での対応にはなりますが、チャットによるサポートがあるので、わからない時は適宜問い合わせもできます。
・有料
・モバイル/PCで視聴OK
・インタラクション部分の分析可能
・日本語未対応
まとめ
現状国内でインタラクティブ動画を制作する場合は、ユーザー数が多く、無料の編集機能で手軽にインタラクション要素を挿入できるYouTubeがオススメです。
国内ではほとんど選択肢のないインタラクティブ動画プラットフォームですが、海外ではここでは紹介しきれないほど多数のプラットフォームが存在しています。編集機能だけではなく、高度な分析機能を有したプラットフォームも増えてきており、国内における普及のハードルは日本語化のみと感じます。裏を返すと、そのハードルさえ乗り越えられれば、他社に先駆けて色々な施策を実行できるチャンスともいえます。
海外勢が資本や技術力を武器に勢いを強めていくのか、Eichiのような国内発のプラットフォームが存在感を高めていくのか、今後の動向にもますます注目です。