他社に差をつける!展示会での動画活用(後編)

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前回のおさらい

前回、2016年の展示会での動画活用状況についてまとめました。

  • 出展規模によらず、ディスプレイモニターを設置するブースの半数以上は「動画」を活用。また、全出展ブースに対しても30%程度のブースが「動画」を活用。
  • 展示会での動画活用は多様化しているが、ブースのサイズや制作費上の問題などから、必ずしも出展者がイメージする動画活用に至っているとは言えない。

すでに30%以上の展示ブースが動画を活用している今、2017年の動画展示においては、単に「動画がある」というだけでは展示の差別化につながらなくなっていくことが予想されます。

もちろん、様々な制約がなければ「顧客の声や実事例を実写で制作する」という選択肢や「複数のパターンで動画を制作する」といった選択を取ることができるでしょう。
とはいえほとんどの場合、「動画を活用したいが、やむを得ず静止画やプレゼンの表示にしている」「本当は違う活用もしたいが、制作費の関係からアニメを選択した」というようなことはないでしょうか?

今回は、活用イメージに近い動画を制作する工夫や考え方、制作手法にとらわれず、より効果的に動画を活用をするために必要なポイントについて書きたいと思います。

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)と展示会

突然ですが、「VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)」という言葉はご存知でしょうか?
ビジュアルマーチャンダイジングとは

ビジュアルマーチャンダイジングとは文字どおりマーチャンダイジングの視覚化である。それは企業の独自性を表わし、他企業との差異化をもたらすために、流通の場で商品をはじめすべての視覚的要素を演出し管理する活動である。この活動の基礎になるものがマーチャンダイジングであり、それは企業理念に基づいて決定される。
日本ビジュアルマーチャンダイジング協会

と定義されています。簡単に言えば「店舗や売り場の陳列の視覚的演出の方法」です。

このVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)という概念は、百貨店のアパレル売場などから端を発し徐々に体系化されてきましたが、近年POSシステムなどのデータの蓄積やO2Oといったオムニチャネル化のニーズなどにより急速に進化を遂げている概念です。このVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の考え方は「店舗」や「売り場の陳列」だけでなく、展示会や展示会を構成する展示物などにおいてもその考え方を活用することができます。

図1:VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)と展示会装飾

さて、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の概念に基づいて展示会ブースを設計した場合、動画の役割とはどんなものでしょうか?


VMDに基づいた展示会動画の役割

展示会に関わらず、デジタルサイネージや店内POPとして活用される動画には「視聴者の導線・視聴距離」の考慮が欠かせません。下の表は、展示会での動画の役割と、一般的に必要と思われる動画の機能についてまとめたものです。

図2:VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)と展示会動画

例えば、動画を使って「集客・足止め」を目的としたいといった場合、「音」の活用は必須です。より広い範囲から集客する場合、通路導線上の音によりブースの方向を注意喚起することができます。また、通路前を通過する来場者向けに興味を引き付けるためには、「興味がわくキーワードが動画上に表示されているか」がポイントとなります。

このように、動画に担わせるべき役割により、「ディスプレイの展示位置」や「導線」を考慮した動画の制作を進める必要があるのです。

これからご紹介する3つの事例は、「VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)」の考え方に基づき、動画の役割を定義して作成した事例です。


VPの役割での展示会動画例


動画の役割:集客・足止め
動画の機能:汎用的なキーワード・音などのインパクト

ブースの死角からでも「音声」による注意喚起が有効になる場合があります。そのうえで、広い展示会場の中で「音声」を有効に機能させるためには、「耳で聞いて知っている言葉」「意味のある言葉」である必要があります。
認知が低い造語や難しい言葉では、聞く人にとってブース来場を誘因する機能は果たせません。
この動画では「階段」「山登り」というキーワードをナレーションとすることで、この2つのキーワードに対して興味を持ったり、違和感を感じる方に対しての足止めを想定して制作しています。


PPの役割での展示会動画例


動画の役割:取扱分野・バリエーションの紹介
動画の機能:カテゴリーの網羅性・大きめのアクション

PPでは「見出し」や「カテゴライズ」といった機能が求められます。ブース内ではどんな製品やサービスを置いているのか、どんな課題を解決するためのものなのかなど、ブース内にどんなものを展示しているかを示す「案内板」のような役割が必要になってきます。この動画では、多数あるソリューションの各論をメインにせず、ソリューション全体のメリットをメインに訴求しつつ、各商材に触れるという構成することで、目的とする課題解決のためのソリューションだけでなく、それ以外の潜在的な課題へアプローチするきっかけ作りを目的として制作しています。


IPの役割での展示会動画例


動画の役割:製品の訴求
動画の機能:図説・機能の紹介

いわゆる製品やサービス紹介動画になります。前回の記事でもレポートしましたが、2016年の展示会動画の大部分を占めるのがこの「製品・サービス紹介動画」です。このIPの役割を満たす動画は、テロップや製品の実物などを活用して、視聴者に「製品・サービスの魅力を理解してもらう」というところに重点を置く必要があります。
また展示会においては、製品やサービスの体験を促したり、説明スタッフの説明の手間を省くなどの機能を持たせるなど、「ブース来場後の来場者導線」を意識する必要があります。
この映像では、製品の使い方や機能と効果をまとめることで、「製品に触れてもらう」「手に取ってもらう」ことを目的として制作しています。


まとめ

2017年もこれから本格的に展示会のシーズンに入ってきます。
動画を活用することで、声掛けや足止めのスタッフの負荷を軽減することができるかもしれません。
製品群を網羅的に紹介することで、来場者の潜在的ニーズを喚起することができるかもしれません。
商品説明を充実させることで、説明スタッフの稼働を効率的に活用できるかもしれません。
「賑やかし」「展示品の代替物」といった使い方だけでなく、是非、展示会の目的に合った動画というものにチャレンジしてみてください。


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