【2024年8月版】ショート動画活用事例【医療・福祉業界】

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SNSはZ世代とのコミュニケーションツール

ショート動画は、Tiktok投稿、Instagramリール、Youtubeショート、X Vertical Video などと呼ばれ、Z世代以下の若い世代に向けて圧倒的なリーチ力を誇っています。その理由は、視聴者(ユーザー)の視聴状況をSNS側が学習することで興味嗜好にあった動画を受動的に視聴できるツールであると認知されていることにあります。

従来型のサーチエンジンでは「何を知りたいか」を入力し、検索結果からリンクをたどり、情報の取捨選択をしていくことが必要でした。一方でSNSでは自分の知りたい・見たい情報が勝手に入ってくるツールともいえ、情報の取捨選択を最小限することができます。

自分の好みにあった動画がどんどん目に入ってくるという環境を作ることSNS動画は、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する世代には、効率的な情報収集ツールとして、空き時間に好きな動画を見るという行動を加速化させているのです。逆の言い方をすれば、企業は視聴者が見たいと思える情報を動画で流すことで、視聴者と少しずつコミュニケーションの深度を深めることが可能になるとも言えるのです。今回は「医療・福祉」の分野でショート動画活用をTiktokをベースにご紹介します。

医療・福祉業界のSNS動画活用目的は「若手採用」

ズバリ、医療・福祉業界のSNS活用は「採用」を目的としている場合がほとんどです。昨今の若手人材不足の業界ではZ世代とコミュニケーションを図る採用ツールとして注目を集めています。SNSを見るZ世代に向けて、業界の面白さ、職場の雰囲気、働き方への考え、働く人の面白さ、取組の面白さなどを訴求し「組織としての色」を少しずつ表現しながら共感を獲得しています。

業界の面白さを訴求:医療法人徳洲会 古河総合病院

茨城県古河市にあるケアミックス型病院です。Tiktokでは2023年5月から運用を始めており、概ね週1本程度のペースで投稿されています。あるあるネタや2択アンケートなど業界の面白さを訴求することでインプレッション(表示)を稼ぎ、ピン止めされた「採用募集」のショート動画に誘導するという流れは、SNS採用でのショート動画活用として定番の流れを作っています。

職場の雰囲気を訴求:津生協病院

三重県津市にある病院です。様々な面白ネタを投稿しつつも、看護師の一日や指導員の一日など「働いてからの職場のイメージが分かる動画」もよく見られており、採用導線にステップが感じられる動画構成になっています。

働き方への考えを表現:医療法人梅華会グループ

2020年7月から運用を開始しています。この病院の注目すべきコンテンツは「時短勤務と通常勤務の軋轢」をドキュメンタリータッチで描いたショート動画が大きな反響を得ており、医療業界のみならず、どの企業にも通じる本質的な課題に対して真摯に取り組む姿勢を動画で表現されています。

働く人の面白さを訴求:住宅型有料老人ホーム ライフホープ

大阪府堺市にある介護施設です。「ギャルでも働ける介護施設」というキャッチフレーズで介護職員のイメージを覆すようなサムネイルを出しつつも、ギャルならではの人懐っこいコミュニケーションで人間味あふれる日常がショート動画になっており「ギャルパイセンと一緒に働いてみたい!」というコメントもちらほらみられています。この会社の職場の楽しさを仕事をポジティブに楽しむキャラクターを通じて伝えるという手法は、とても参考になります。

取組の面白さを訴求:介護老人福祉施設やまゆりの里

兵庫県丹羽篠山市の特別養護老人ホームです。ここでは「キャバクラ」や「ホストクラブ」などのレクリエーション企画の動画が受けており、面白い企画をする養護老人ホームであるというブランディングを確立しています。若い感性が仕事の中で取り入れられているという事実は、単に「仕事に裁量がある」「成長できる」という言葉よりも説得力があります。また、コメントのやりとりも丁寧に行っており、ブランディングと採用の2つの側面から成功している事例と言えると思います。

SNSショート動画でZ世代にリーチをするために

SNSの活用は必ずしも商品のプロモーションだけではありません。様々な企業がSNSを「若手採用」という視点で活用しています。

成功している多くの企業アカウントで共通しているのは、「Z世代とのコミュニケーションの接点・話題の提供を第一に考えている」ということです。採用や募集といったキーワードはグッとこらえ、組織・企業に興味を持ってもらえそうなネタを一生懸命作り、Z世代に「知ってもらう」「興味を持ってもらう」ということを優先しています。

似たようなネタであっても、働いている人・企業風土によりその見せ方や答えは変わってきます。今回ご紹介した事例は医療福祉という独自性を出しにくい業界の中でも、人や取り組みなどにフォーカスすることで、組織の魅力を伝えることに成功している事例だと思います。

「動画にするネタがない!」「他の施設と同じようになってしまうのでは?」といった悩みは多くあると思いますが、是非検討してもらえればと思っています。