【長編AIアニメPJは進捗10%】スマービーニュース2026年1月号

【長編AIアニメPJは進捗10%】スマービーニュース2026年1月号

スマービーニュースでは、海外の動画マーケティングトピックスを中心に、動画ニュースを配信しています。
従来の動画広告・プロモーション事例に加え、近年急速に進化している生成AIを活用した動画制作の潮流や、その実践的な活用方法についても継続的に取り上げていく予定です。

このシリーズでは、単なるツール紹介やトレンド解説にとどまらず、
「生成AIを活用することで、動画制作はどこまでオートメーション化できるのか」
という問いを裏テーマに据えています。
企画・脚本・演出・制作という、これまで人手と時間を要してきた工程が、どこまでAIに委ねられるのか。その可能性と限界を、実制作を通じて検証していきたいと考えています。

そうした取り組みの一環として、昨年12月より、初のオリジナルストーリーによるAIアニメーションプロジェクトを開始しました。今回は、その制作進捗と、実際に取り組んで見えてきた課題についてご紹介します。


日常物語を描くレベルには到達したAIアニメ

現在のAIアニメ界隈では、大きく分けて2つの潮流が生まれていると感じています。

A. AIでしかできない表現の追求
B. 既存の映像表現のコモディティ化

Aについては、日々クリエイティビティあふれる短尺動画が、SNSや動画プラットフォーム上で次々と公開されています。
短いものでは15秒程度、長くても2分前後のPV・MV・ダイジェストといった形式が中心で、「人の手では作れない」「偶発性を楽しむ」表現が多いのが特徴です。

一方で、本プロジェクトが目指しているのは、あえて B.既存の映像表現のコモディティ化 です。
つまり、従来は人手で制作されてきた「物語としてのアニメーション」を、AIを使ってどこまで再現できるか、という挑戦です。

昨年12月に公開したMVを皮切りに、現在は全体で約200分規模のシナリオプロットが完成しており、そのうち約20分弱の映像制作がすでに完了しています。
短尺の実験ではなく、連続した物語として成立する長編AIアニメに取り組んでいる点が、このプロジェクトの大きな特徴です。


すでに「AIの次元」では語れない課題ばかりになってきている

長編アニメを実際に制作してみて、初めて見えてくる課題があります。

昨年末の段階で、マルチアングル手法を導入したことで、同一空間・同一キャラクターの位置関係を維持しながら物語を進めることが可能になりました。これはAIアニメ制作において大きなブレイクスルーであり、少なくとも「日常シーン」の表現に関しては、ほぼ実用レベルに達したと言っても過言ではありません。

では、長編AIアニメにおける現状の課題は何か。
結論から言えば、それはもはや「AIが出力できるかどうか」という話ではなく、

  • 原作台本の設計
  • シーンの言語化(プロンプトエンジニアリング)
  • カット割りとカメラワーク

といった、従来の映像制作と地続きの領域に集約されてきています。


原作台本

原作台本については、作者の力量が大きく影響する部分ではありますが、
AIアニメならではの制約と直結する課題があります。

それは「描きたいシーンが、必ずしも映像として出力できるとは限らない」という点です。

例えば、あるシーンでは、全員が会議室に集まり、会話を進める想定をしていました。
しかし、そのままシーンを出力すると、テレビの前が議長席のような構図になってしまい、
「テレビを見ながら会議を進める」という自然な入りを表現することが難しい、という問題に直面しました。

結果として、構成を見直し、リーダー役のキャラクターを後から登場させる、という形に変更しています。

このような原作側の変更は随所で発生しています。
表現が難しいシーンは一度カットして前後をつなぎ直したり、
逆に、やや冗長でも位置関係を明示する描写を追加したりと、
AIで「出せる絵」に合わせて物語を再設計する作業が常に求められます。


もともとは議長席にリーダーが座っている、という原作台本
もともとは議長席にリーダーが座っている、という原作台本

5名の位置関係をそのまま出力すると、議長席はテレビ前になってしまう。
5名の位置関係をそのまま出力すると、議長席はテレビ前になってしまう。
台本を変更し、議長役のリーダーが後から入ってくるアプローチに変更


シーンの言語化(プロンプトエンジニアリング)

AIアニメ制作で、特に難易度が高いのが、多段階にわたるシーンの言語化です。

例えば、主人公が「刀を召喚生成する」シーン。人が想像すると、両手の掌を上に向け、柄と刀身を授かるように受け取る仕草を思い浮かべると思います。しかし、そのイメージ通りの画像をAIに出力させるのは、想像以上に難しい作業でした。

動画シーンになると、さらに複雑になります。手のひらからエネルギー弾を放つキャラクターのシーンでは、単に「エネルギー弾を撃つ」と書いても、意図した動きにはなりません。

界隈ではいわゆる「グミ撃ち」と呼ばれる動作ですが、当然その言葉は通じません。
そこで、掌底という格闘動作と、エネルギーの閃光を連動させる、といった形で言語化し、ようやく狙った表現に近づけることができました。

それでも、何度試しても意図した出力が得られないケースは多々あります。
その場合は、プロンプトを詰めるだけでなく、原作台本そのものを書き換えることで対応しています。


黒い刀を手に持つ、というプロンプトだと握った状態になる。
黒い刀を手に持つ、というプロンプトだと握った状態になる。

日本刀を、優しく右手の手のひらで下から柄を支え、左手の手のひらで下から刀身を支えるというプロンプトで初めてここまで出力。※左右はなかなか認識しない。
日本刀を、優しく右手の手のひらで下から柄を支え、左手の手のひらで下から刀身を支えるというプロンプトで初めてここまで出力。※左右はなかなか認識しない。
エネルギー弾を撃つというプロンプトでの出力
上半身の運動とエネルギー弾の関係を個別に記載したプロンプトによる出力


カット割り、カメラワーク

当初は、既存の映像制作と同様に、絵コンテを作成してから進行していました。
しかし、AI特有の「思い通りの絵・カットが出なかった場合の修正」によって、
結果的に二度手間になるケースが多発しました。

現在は、絵コンテを省略しつつ、脚本を「順撮り」する形で映像化を進めています。
その中で特に難しいのが、カット割りとカメラワークです。

会話シーンでは、どうしてもミディアムショットが連続しがちになるため、
背景の一貫性を保ったまま、意識的にワイドショットを挿入する、といった工夫が必要になります。

また、現在は i2v(Image to Video)を中心に制作しているため、
「足元からのティルトアップ」や、被写体の背後に回り込むようなカメラワークは非常に扱いづらいのが実情です。
一貫性を重視するほど、カメラの自由度は下がり、結果として映像が単調になりやすくなります。

それでも、このような産みの苦しみを経験しながら、現在はすでに第二話の制作に着手しています。


今後について

AIアニメの制作プロジェクトは、今後も継続していきます。
この1か月で、制作上の癖やボトルネック、実際の制作ペースがかなり明確になってきました。

今後は、それらを踏まえた上で、
クオリティを維持しながら、どこまで効率化できるか
というフェーズに少しずつ移行していく予定です。

引き続き、進捗や気づきはスマービーニュースで共有していきますので、
AIアニメや動画制作に興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。

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