動画制作の料金はどう決まる?料金相場や費用の内訳・仕組み

動画制作の料金はどう決まる?料金相場や費用の内訳・仕組み

動画を発注する際に、制作会社によって見積金額にかなり差やばらつきがあって戸惑った経験はないでしょうか。発注にあたって、適正な相場や費用の構造を理解していないと、制作会社に言われるままにオーバースペックな動画を作ってしまったり、無駄にお金を払ってしまったりするということになりかねません。

そこで、今回は動画を制作するのに適正な相場はいくらくらいなのか、また動画制作の料金は一体どのような算出根拠で決まるのかを具体的に解説します。


1. 動画制作の料金相場は?


動画制作の料金相場

1分程度の動画を制作する場合、一般的な動画制作費用の相場は

おおよそ「30万円~」程度

となっています。

同じ動画の制作内容でも、「一律◯円」という訳ではなく、動画の演出や内容によって制作費用に大きな差が出てきます。

例えば、動画の長さや撮影日数・キャスティングの有無やアニメーションの複雑さによっても異なってきます。内容によっては100万円を超えることもありますし、簡易的な編集のみであれば5万円程度で制作できる場合もあります。

では、これらの料金はどのように決まるのでしょうか。動画制作の費用の項目を大きく「企画関連費」「撮影関連費」「編集関連費」の3つに分類して、それらを構成する要素を確認していきましょう。


2. 企画関連費用


企画関連費用

費用項目 概要 料金目安
企画構成費用 動画の骨子となる企画内容を検討する費用 5~20万円
ディレクション費用 動画制作全体の進行管理に要する費用 制作費の10%程度
台本制作費用 動画のシナリオをまとめた台本を制作する費用 5~30万円

十分な企画検討を行わず、目的や方向性を決定せずに制作を進めると、制作途中で内容が大きくブレてしまいプロジェクトのスムーズな進行を妨げてしまったり、第三者視点に欠けたメッセージが伝わりづらい動画が出来上がってしまうことがあります。
動画のキモともいえるのが、この「企画」部分です。企画関連費用として上記のような費用が発生します。


2-1. 企画構成費

事前にヒアリングした内容に基づいて、どのような人物をターゲットに対して、どのような内容・テイストで、どのメッセージを訴求していくのか、動画の骨子となる企画内容を制作するための費用です。具体的なアウトプットとしては、企画書や提案書、台本案などがあります。

費用項目として、後述するディレクション費用や台本制作費用とまとめられる場合もあります。

企画構成費用の計算:

ディレクターの人件費単価 × 作業時間


2-2. ディレクション費

ディレクション費用は、制作会社により含まれる項目や計算根拠などに違いがありますが、進行管理・打合せ、関係各所との調整や動画演出の検討を行うディレクターの人件費が含まれます。

その他の人件費と同じく、想定される稼働時間によって費用が決まりますが、大規模な案件になればなるほどこの稼働は大きくなるため、総製作費に対するパーセンテージで計算される場合もあります。

ディレクション費用の計算:

ディレクターの人件費単価 × 作業時間


2-3. 台本制作費

動画のビジュアルのラフやナレーション、演出などをシーンごとにまとめた台本を制作する費用です。絵コンテと呼ばれる簡易的な台本の制作やデザインボードと呼ばれる、詳細台本などの制作費用などが含まれます。動画が長尺になればなるほど、ここで検討するシーン数やスクリプトも増えていきます。

企画構成費用やディレクション費用などに含まれる場合もあります。

台本制作費用の計算:

ディレクター・構成作家の人件費単価 × 作業時間


3. 撮影関連費用

費用項目 概要 料金目安
撮影費用 カメラマン・照明・音声などのスタッフの人件費 5~50万円
機材費用 カメラや音声・照明機材等、撮影に必要な機材の費用 3~50万円
ロケハン費用 現地で撮影の計画・準備を行うための費用 2~10万円
スタジオ費用 動画を撮影を行う場所の手配費用 5~40万円
キャスティング費用 出演する役者・モデルに支払う費用 5~20万円
ヘアメイク・スタイリスト費用 ヘアメイク・スタイリストの人件費 5~10万円
交通費・運搬費・宿泊費 遠方への移動や宿泊にかかる費用 実費相当

実写撮影を行う場合に限り、これらの「撮影関連費用」が発生します。
撮影を行う場合、撮影費や機材費などは必ず必要ですが、スタジオ費やキャスティング費用などの項目に関しては制作内容により発生することがあります。


3-1. 撮影費用

撮影費は、撮影に参加するスタッフの拘束時間によって決まります。そのため、撮影日数が複数日に渡ったりするロケでは、費用が増加します。また、スタッフのスキルレベルによって単価感も異なります。

撮影に参加するスタッフとしては、ディレクター・カメラマン・照明スタッフ・音声スタッフなどが挙げられます。撮影をスムーズに進行するために、規模やオペレーションの内容により、人数を増やしたり・各スタッフにアシスタントをつける場合などもあります。

撮影費用の計算:

撮影スタッフ(カメラマン・照明・音声等) の人件費単価 × 拘束時間・日数


3-2. 機材費用

ビデオカメラや音声収録機材・照明機材をはじめとした撮影で使用する機材の費用です。制作会社によっては、撮影スタッフ代に含まれている場合もあります。

通常の撮影で用いるカメラやレンズ・記録メディア・音声・照明機材など標準的な機材以外にも、撮影内容やシチュエーションにより、モニター・プロンプター・スイッチャー・ドローン・アクションカム・クレーン・ドリー・ターンテーブル・各種ケーブル等が追加で必要になります。

機材費用の計算:

各種機材の単価 × 使用時間


3-3. ロケハン・コーディネート費用

ディレクターなどの撮影スタッフが、事前に撮影候補地に足を運び、具体的な撮影ロケーションの選定や、撮影方法・機材の検討、段取りの確認やテスト撮影などを行う、ロケーション・ハンティング(通称:ロケハン)に関わる費用です。ディレクション費や撮影費などに含まれる場合もあります。その業務内容から、撮影本番にかかるスタッフ単価よりは、低めに抑えられていることがほとんどです。

地方ロケや海外撮影などで、各所との撮影交渉や申請、事前リサーチ等のコーディネートが必要になる場合には、コーディネート費という項目でそれらの諸経費が加算される場合もあります。

ロケハン・コーディネート費用の計算:

スタッフの人件費単価 × 拘束時間・日数 + その他業務・手続きによる追加費用


3-4. スタジオ費用

ハウススタジオやホリゾントスタジオなどの撮影専用スタジオで撮影する場合や、外部の設備などを有料で撮影場所として使用する場合に発生する費用です。スタジオや設備の規模や内容によって費用が異なってきます。

レンタルスタジオの場合、大抵は最低利用時間と利用時間ごとの料金が設定されており、準備・撮影・撤収に必要な時間を見積もったのち、必要な時間分の予約・場所確保を行います。撮影専用スタジオ以外でも、所定の手続き・事前申請と料金の支払いを行うことで利用可能になるロケ地もあります。

スタジオ費用の計算:

撮影設備利用料単価 × 使用時間・日数


3-5. キャスティング費用

撮影で役者やモデルを登場させる場合は、その出演料が必要になります。出演料は、出演者のランクや拘束時間、動画利用の諸条件によって費用が変わってきます。

また、出演者を決めるにあたっては、宣材写真やコンポジ(プロフィールや顔・全身が分かる写真、身長やスリーサイズ・出演履歴等が分かるもの)を用いて選定する方法とオーディションを開催する方法があります。コンポジや過去の出演動画を用いて選定する場合がほとんどですが、別途、オーディションなどを開催する場合は、それらに必要な諸経費が追加されます。

諸条件というのは、例えば映像の利用期間や、競合(同じ分野の商品・サービス・企業などの出演に制約をかける契約上のルール)の有無です。競合ありの場合、出演者のお仕事を制限することになるため、出演費とは別に追加で料金が発生する場合があります。

キャスティング費用の計算:

出演者の単価 × 拘束時間・日数 + その他諸条件による追加費用


3-6. ヘアメイク・スタイリスト費用

例えば、オフィスと家という2つ以上のシチュエーションで撮影する場合、衣装やヘアメイクなども、そのシチュエーションに応じて変更する必要があります。このように、出演者のヘアメイクや、衣装のコーディネートが必要な場合は、ヘアメイクやスタイリストのスタッフ代が発生します。

プロダクション側で衣装の準備が必要な場合は、衣装のレンタル費用または購入費として、その点数に応じた費用が発生します。

ヘアメイク・スタイリスト費用の計算:

スタッフの人件費単価 × 拘束時間・日数


3-7. 交通費・運搬費・宿泊費

機材運搬のための車両費や、交通機関の利用料・スタッフの宿泊費などが含まれます。撮影場所までの距離や時期・内容によって適切な移動手段を選定します。

交通費・運搬費・宿泊費の計算:

移動・運搬に関わる費用の実費相当分


4. 編集関連費用

費用項目 概要 料金目安
映像編集費用 撮影した素材の編集やアニメーション編集の作業費用 5~50万円
グラフィック制作費用 イラストやグラフィックのデザイン制作費用 5~50万円
ナレーション・MA(音響効果)費用 スタジオ費用と収録・編集の人件費にかかる費用 5~20万円
物理メディア制作費用 DVDやBlu-ray、HDCAMなどの媒体納品費用 1~2万円

動画制作にあたり必ず発生するのが「映像編集費用」です。ナレーション収録費やメディア納品費を除き、編集作業の費用は「人件費単価」×「作業時間」で決まっていきます。
そのため、動画の尺が長くなればなるほど作業量が増え、それに対応する費用項目が増加することになります。


4-1. 映像編集費用

編集費用は、撮影素材のカット編集や色味の調整(カラーグレーディング)、アニメーション制作になどの作業で発生する費用です。

編集スタッフの稼働時間と作業内容の難易度によって決まった単価で計算されます。3DCGなど、求められるスキルが専門的でかつ、長時間に渡る作業が必要な場合は、この費用が高くなります。この編集費用は「仮編集」・「本編集」と分けて計算される場合もあります。

映像編集費用の計算:

編集スタッフの人件費単価 × 作業時間


4-2. グラフィック制作費用

動画内で使用するオリジナルのイラストやグラフィックをデザイナーやイラストレーターが制作する費用です。事前にヒアリングしたデザインテイストとコンテの内容を元に、具体的なビジュアルに落とし込む作業を行います。

ロイヤリティーフリーのイラストや写真・動画素材を活用して制作を行う場合には、それらの購入費が発生します。

グラフィック制作費用の計算:

デザイナー・イラストレーターの人件費単価 × 作業時間 (+ 素材手配費)


4-3. ナレーション・MA(音響効果)費用

動画制作が終盤に差し掛かると、動画の音声部分の編集が行われていきます。動画の内容に合わせて、ナレーションやBGM・効果音などを挿入していきます。

ナレーションの立ち会いを行うスタジオ収録では、関係者を招いて確認収録を行うためのスタジオ費用に加えて、収録機材をハンドリングするためのエンジニアスタッフ、具体的な指示を行っていくディレクターなどの人件費が発生します。場合によっては、立ち会いを行わず、事前に確認した仮ナレーションや台本を元にリモートでナレーションを収録し、音声データを動画に挿入していく場合もあります。

ナレーション以外の費用としては、ロイヤリティフリーのBGMや効果音などの素材手配費用などがあります。これらの費用は映像編集費に含まれている場合もあります。映像の雰囲気に合った完全オリジナルのBGMやサウンドロゴを1から作成する場合には、別途楽曲の制作費が発生します。

ナレーション費用・MA(音響効果)費用の計算:

ナレーター・スタッフの人件費単価 × 拘束時間 + スタジオ代 + 素材手配費


4-4. 物理メディア制作関連費用

動画ファイル以外に、DVDやBlu-ray・HDCAM(TVCMの入稿などで使用)など物理媒体での納品が必要な場合に発生する費用です。マスターメディアだけでなく大量に制作する場合は、その数量に応じた費用が発生します。

DVDやBlur-rayなどは、コピー費用・プレス費用の他に、メニューや再生制御を行うためのオーサリングといわれる作業を行うための費用、ジャケットやレーベルのデザインを行う場合は、それらのデザイン費が加算される場合があります。

また、DVDやBlur-rayの制作は、単純な複製を行う「コピー」、国内外の専用工場で大量生産を行う「プレス」という2つの方法があります。当然枚数が多い「プレス」ほうが単価感が安くなりますが、「コピー」に比べ作業期間が長いため、数量・納期・用途などを加味して決定していきます。

物理メディア制作費用の計算:

メディア単価 × 数量 + 作業費


5. 費用項目のまとめ


費用項目のまとめ

費用項目 料金目安
企画構成費用 5万~
ディレクション費用 5万~
台本制作費用 5万~
グラフィック制作費用 5万~
映像編集費用 10万~
ナレーション 5万~
合計 35万~

動画の制作費用は主に「依頼する業務範囲」と「スタッフの作業時間」で決まってきます。動画の目的・達成するべき内容、そしてそれらの優先順位をよく考えたうえで、依頼する業務や内容を決定していきましょう。

また、費用の構造を理解するにあたっては、動画制作の具体的な流れを理解しておくということも重要です。動画制作の具体的な流れや工程は以下の記事を参考にしてください。


6. 費用削減のポイント

では最後に、費用を抑えるにあたり、具体的にどのような箇所を見直していくことができるでしょうか?事例を交えて説明していきます。


6-1. 台本をプロに任せるのか?

単純な内容であれば、自ら台本制作を行うことで、企画関連費用を削減することができる場合がありますが、通常の場合は様々な動画の制作を経験している制作会社に任せることをオススメします。
特にナレーションが中心の場合には、ナレーションとシーン尺の関係性を考えながら制作が必要になります。

「ナレーションが長すぎて止まっているシーンが長すぎる」
「シーンとナレーションやセリフが関係性が分かりづらい」

台本制作をプロに依頼した場合、このような問題が解決するだけでなく、客観的視点でのシナリオ制作・訴求点の整理ができるだけではなく、離脱率を抑えるための演出上の工夫や、異なるシーンで利活用しやすい動画構成など、経験を踏まえた動画設計を行うことができます。


6-2. 撮影日をうまくまとめることはできないか?

当然ながら撮影日が増えれば増えるほど、参加するスタッフの人件費は増えていきます。また、それに加えて、移動費や運搬費・機材費やスタジオ代など、それに付随する費用も同じように増加します。
複数日にまたがって行われる撮影があり、社員の撮影のインタビューなどで出演者の日程調整が可能な場合などは、うまく撮影日調整を行っていきましょう。
過度に詰め込みすぎてしまうと、時間内で必要なシーンが撮り切れなくなる恐れや、出演者やスタッフが最低限の休憩を確保できず、集中力が切れてしまうこともあります。必ず、制作会社の担当ディレクターに相談のうえ、無理のない撮影スケジュールを組みましょう。


6-3. 撮影場所はスタジオにするべきか?

社員のインタビューなど、社内で撮影を行ったほうがかえって会社や現場の雰囲気などが伝わりやすい場合があります。また、簡易的な撮影であれば、撮影専用スタジオを手配しなくとも、持ち込み機材等でカバーできる場合もあります。


6-4. ナレーションの立ち合いは必要か?

立ち会い収録では、細かいニュアンスなど具体的な指示をナレーターに伝えながら、納得できるまで収録ができるというメリットがある一方で、収録スタジオの費用やエンジニアの費用などが上積みされます。
事前にディレクターが吹き込んだ仮ナレーションなどで、イントネーションやテンポなどを確認を行っておけば、その後ナレーターの裁量で収録を行っても、「イメージと違う!」というトラブルはある程度防ぐことができるはずです。
予算がシビアな場合は、制作会社にナレーションの立ち会い有無のメリデメをしっかり確認したうえで、適切な収録方法を検討しましょう。


6-5. オリジナルのグラフィック制作は必要か?

サービスや商品のブランディングを重視したい場合は、オリジナルのグラフィック制作を行い、オリジナルの世界観をうまく表現したほうが良いでしょう。
一方でマニュアル動画など、ブランディングや世界観より分かりやすさに重きをおく動画では、既存のロイヤリティフリーの素材をうまく活用して、グラフィックのデザイン費・制作費を抑えるというのを検討しても良いかもしれません。


6-6. 費用を抑えることのデメリットは?

動画の費用を抑える最も大事なポイントは「手戻りを防ぐこと、修正を最小限にすること」「短期間で集中して進めること」の2点につきます。特に1番目の「手戻り・修正」については、完成動画には見えてこない費用になるため、

「手間のわりに高額だった」
「費用は安かったけど思ったものができなかった」

となってしまいがちです。動画制作の前に、作りたい動画の目的を考えた上で、制作会社のディレクターと相談しながら、予算との折り合いをつけていくことが大切です。

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